宮崎駿、5年ぶりの監督作は大人を揺さぶる青春物語!

『風立ちぬ』

“戦闘機が大好きで、戦争は大嫌い”。これまでも『紅の豚』などで“飛行機愛”を表現してきた宮崎駿監督が、後に伝説となったゼロ戦の設計士・堀越二郎の半生をもとに、1920年代の青春を描く感動作。

 今年は、50年来の友人でありライバルでもある高畑勲、宮崎駿両監督の最新作が、1988年に高畑作品『火垂るの墓』と宮崎作品『となりのトトロ』が2本立てで公開されて以来、25年ぶりに同年公開されるだけに、注目度も高い。

 本作のもとになっているのは、数年前から宮崎監督が“自分の趣味”として描いていた、堀越二郎とゼロ戦誕生のエピソード。大正から昭和へ、生きるのに辛い時代を当時の若者たちはどう生きたのか。実在した堀越二郎と同時代の文学者・堀辰雄をモデルにして1人の主人公を生み出し、後に神話と化したゼロ戦の誕生を縦糸に、青年技師二郎と美しい薄幸の少女・菜穂子との出会いと別れを横糸に、完全なフィクションとして描く。主人公・二郎の声は新世紀エヴァンゲリオン』シリーズを手掛けた監督・庵野秀明が担当。ヒロイン・菜穂子役には瀧本美織。宮崎作品に欠かせない久石譲の音楽に加え、荒井由実の歌う『ひこうき雲』が映像とともにいつまでも心に残る。

 二郎と菜穂子が愛と夢を握りしめ懸命に生き抜く姿は、閉塞感漂う現代を漠然と生きる大人たちの心を、強く揺さぶるはず。

STORY:不景気に震災と、生きるのに辛い時代を迎えていた1920年代の日本。幼いころから空にあこがれを抱き続けてきた青年・堀越二郎は飛行機の設計士となるが、日本は戦争へと突き進み…。
監督:宮崎駿 声の出演:庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊他/2時間6分/東宝配給/TOHOシネマズ スカラ座他にて公開中 http://kazetachinu.jp/