SPECIAL INTERVIEW 春風亭昇太 立川生志 林家彦いち「怪談噺はオモシロイ ?!」
夏といえば、ゾーっとする怪談話で涼を取るのが日本の夏の定番。しかし、落語の怪談噺には怖くないどころか、思わず笑ってしまうキャラクターのお化けも多く登場する。爆笑の怪談噺で暑さを倍増させてくれる春風亭昇太、立川生志、林家彦いちが落語の世界のお化けや妖怪をテーマにほろ酔いトークを展開(聞き手・馬場憲一)。
馬場「落語でも夏は怪談をよくやってるけど3人はどう?」
彦いち「僕は一門の(林家)正雀師匠が怪談噺をやっていたので、お化けの役をよくやっていました。みなさんは?」
昇太「僕はね、先代の(神田)山陽先生が夏になるとやっていた怪談噺を見るのが大好きだったから、噺家になってお化け役でお客さんを脅かしに行く側になって、すごくうれしかった」
彦「うれしいんだよね(笑)。妙に」
生志「(昇太)兄さんがやるの? 頭に三角の白い布つけたりして?」
昇「そうだよ。前座のころだから、客席のどこに女の人がいるかチェックして、驚かせたりした(笑)」
生「幽霊役の人は客席に行っていいの?」
昇「うん。懐中電灯を持って客席に行って、真っ暗になったらお客さんの前へスーッと行って自分の顔に灯りをあてる」
生「それはお客さんびっくりするわ」
彦「客席はピンスポットがないから自分でするしかない」
昇「セフルピンスポだね(笑)」
彦「あと一度正雀師匠がイイノホールで怪談をやった時にもお化けの役をやったんですよ。でもこっちも寄席サイズで慣れているし、お化けの衣装って足がないように見えるように裾がすぼまってるの。で、ホールを暗くして、パッと明るくなったら幽霊が舞台からいなくなってるっていう演出の時に、裾を絞っているから、移動できなかったのね。だから、明るい中ずりずり移動してたら受けちゃって。でもそういうので笑いとったらダメじゃない? だからぴょんぴょん跳ねて袖に消えたら、さらに受けちゃったんだよ。あの時は正雀師匠も唖然としてた(笑)」
生「僕は寄席も知らないし、うちの師匠(談志)もあまり怪談噺やらないから…。でも1つ『妲己のお百』っていうのを持っていて、夏のホテルのイベントでやることになったんですよ。料金も高いし、久しぶりだから師匠もプレッシャー感じて自分の本を読んで楽屋で稽古してたの。でももしもの時のためにって前座にプロンプターを頼んでいたんだけど、かなり早い段階からプロンプが必要になって(笑)。横でずっと前座が読んでいるから全然怖くない」
彦「その状態が怖いですね。間違えて教えたら大変なことになる(笑)」
昇「はて、恐ろしき談志、だね(笑)」
馬「寄席でやる怪談って、牡丹灯籠とか真景累ヶ淵とかドロドロしたものもあるけど、爆笑しちゃうものも多いですよね」
彦「寄席のお化けって、お客さんが許しちゃうっていうところがありますよね。陽気っていうか、寄席サイズみたいな」