カナダ人落語家 桂三輝が故郷北米で巡回公演
六代目桂文枝の15番目の弟子でカナダ人落語家桂三輝(カツラ・サンシャイン)が、8月後半から1カ月半にわたり、北米巡回公演を実施。カナダ大使館で7日、同公演の概要が発表された。さらにこの日に、在日カナダ商工会議所より『カナダ文化大使』の称号も授与。今年の秋から来年にかけて日加修好85年を迎える両国の文化交流促進に努めるという。
北米公演は、カナダとアメリカの約20都市において、30回近い公演になる予定で、師匠である桂文枝の創作落語を英語で演じ、日本の伝統芸能"落語"を世界に広めることを目的としている。「6年前、師匠の落語を聞いて涙が出るほど笑ったし、衝撃を受けた。これをいつか英語でやって、海外に落語を広めたいと思い5年前に師匠に弟子入りをした。三輝という名前は、日本だけではなく、海外で名乗っても明るくなる素晴らしい名前。それは師匠からのプレゼントで、私の宝物です」と三輝。それに応え文枝は「弟子入り志願には着物を着て来た。寄席の出口で待っていて、土下座をしてびっくりしたが、話を聞くと真面目で熱心で、日本を愛していることがわかった。日本語はおぼつかなかったけど(笑)」と当時の様子を思い出し語った。さらに、日本人の弟子との違いを「習慣の違いがなかなかわからなくて、一緒に歩くときに真横かSPのように前を歩いてい(笑)。"三歩下がって師の影踏まず"だぞと教えたら、夕方になったら影を踏まないように、どんどん後ろに離れて行く。真面目な男なんです」と笑わせた。
文枝落語を翻訳することについて三輝は「最初は外国人向けに設定を変えたりしたけど、リアクションが微妙で。それでほとんど直訳したら大爆笑だったから、師匠の落語を信じたら間違いないし、世界に通用すると思った」と英語落語を説明。文枝は「どういう風に変えてもいいとアドバイスしたけど、それを聞いて日本の心が受けているんだと思った。日本の文化、歴史、心が通じればいい。アドバイスは間違っていた。全世界に創作落語を広めたいという私の長年の夢は彼にかかっている。落語を広め、彼自身も名前の通り輝いて、有名になってほしい」と弟子に最大のエールを送った。