BOOK おまえはまだ死なない。俺がついているから。
『死神の浮力』伊坂幸太郎
100万部を突破し、ドラマや映画化もされた伊坂幸太郎の『死神の精度』の続編が8年ぶりに発売された。調査部から指定された対象者と接触し、1週間の調査後、その死を“可”とするか“見送り”とするかを判断する死神。可と判断されれば、その人物は8日後に死亡する。前作は6つの短編からなっていたが、今回はあの死神“千葉”が調査対象の夫婦と向き合った7日間を長編で描く。クールでちょっとズレたキャラクターの千葉は、人間の感情や行動に興味がなく、言葉の裏を読むとができない。それゆえ、淡々と仕事をこなす事をモットーとしているが、そのとぼけたキャラクターは、対象者にとって救いになることも。音楽が大好きで渋滞を憎み、苗字が町の名前で、過去のことを見てきたように話す。そんな死神・千葉が最愛の娘を殺されて、良心を持たない犯人への復讐を企てている男の死をどう判定するのか?!
死神の浮力【著者】伊坂幸太郎【定価】1650円(税別)【発行】文藝春秋