江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE
落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。まずは、寄席や噺の中で使われるさまざまな用語を解説する「らくごのいろは編」。
【き】妓夫・妓夫太郎(ぎゅう・ぎゅうたろう)
遊女屋や夜鷹の客引きをする若い衆(男)のこと。遊郭の使用人。また、遊んだあとに金が足りない客について行き、集金する役目も。これの役目を「付き馬(付け馬)」もしくは単に「馬」と言う。 牛、牛太郎とも書く。
【ゆ】遊女(ゆうじょ)
吉原で働く女郎。歌や踊りで酒席を盛り上げる女。枕席を共にすることも。「遊女屋」は、遊女を置いている家。女郎屋。また、遊女屋が集まっている区域のことを「遊郭」、「花街」、「郭」、「傾城町」などと言う。落語では廓噺と言えば、吉原や品川がよく登場する。
【め】メクリ(めくり)
高座に置かれている芸人の名前が書かれた紙。演者の交代前に紙をめくって客に次の出演者を知らせる。縦書きで、寄席文字と呼ばれる独特な文字で書かれる。
【み】水屋の富(みずやのとみ)
生活用水や飲み水を売って歩く水屋という商売をしている男が千両の富くじを当てた。天秤棒を担ぎ、一日中水を売り歩くのはかなりの重労働。いざという時のためまとまった金が欲しいと思っていた男は、手数料を引かれた800両を、大喜びで家に持って帰って、はたと考えた。お客さんのために、毎日外出しなければならないが、金を持って歩くわけにはいかない。かと言って、物騒な世の中、家に置いておくのも不安。風呂敷に包んで戸棚にしまっても開けられたら…。葛篭の中のボロ布の下に置いても、神棚に隠してみても落ち着かない。そこで悩んだ揚げ句畳をあげ、根太板をはがし、縁の下に隠すことに。これで一安心と思ったものの、金が気になって仕方がない。朝起きると竿を縁の下に入れ、コツンと金があるか確かめる。仕事から帰って来たらコツン、寝る前にコツン。それを見ていた隣の遊び人が不思議に思い、水屋が商売に出かけているすきに忍び込んで根太板をはがすと案の定大金が。それをそっくり盗んで逃げ出した。仕事から帰ってきた水屋が、いつものように竿を縁の下に突っ込むが手応えがない。慌てて根太板をはがして見てみると、金はすっかり無くなっていた。これを見た水屋「金がない! はあー、これでゆっくり寝られる」