山本裕典と松下優也が語る、話題の舞台『私のホストちゃん』

No.1の座をかけた男たちの戦いが舞台上でも展開 舞台『私のホストちゃん』 

人気のモバイルゲームからドラマ化され人気となった『私のホストちゃん』が舞台化される。バトルを繰り広げる新宿の2つのホストクラブのトップホスト役の山本裕典と松下優也が、ナンバーワン争いに負けず劣らずの熱さで、同舞台について、そして役者について語る。(本紙・水野陽子)

舞台は楽しませるものだから、お客さんに喜んでほしい(山本)
誰か一人のものじゃなく、僕らみんなの作品にしたい(松下)

 テレビ朝日系で放送された『私のホストちゃん〜しちにんのホスト〜』で繰り広げられてきた、新宿のホストクラブ「バニラ」でのナンバーワンホストの争奪戦をもとにオリジナルストーリーで舞台化される今回の作品。山本は新宿のクラブバニラの新人ナンバーワンホスト霧都、そして松下は歌舞伎町に進出してきた大阪の人気クラブ「ビビッド」の影規を演じる。

山本「新人なんですが、ナンバーワンを目指している上昇志向の高い男です。ホストになったのは、お兄ちゃんの高額な治療費を稼ぐためなんですけど、やるからには1番になりたいって思っている本当にピュアで真っ直ぐな人間ですね。ただ2幕ではすでにナンバーワンホストになっていますが、そこからまた新たな展開があるという…。自分自身もその先はまだ分からないですね」

松下「僕はホストに関心がない影規という役で、もともとその世界の人間じゃなく、割と複雑な事情でそこにいるという感じです。敵役というか、ライバル役ですが、どうしてそういう良くないことをするのかっていうところにもちゃんと理由があって、実はそんなに悪い奴じゃない。一時期、歌と踊りの修行のために海外に行っていて、挫折じゃないけど、そこでちょっといろいろあって…という人間です」

 ホストクラブといえば、どれだけのお客さんを持ち、どれだけ貢がせるかというのが、仕事のひとつ。そして自分のお気に入りをナンバーワンにするために、女性たちはそのホストを指名する。今回の舞台では、そんなリアルホストクラブのシステムを持ち込んだということが画期的な試みとして、話題のひとつになっている。つまり、現実のホストクラブ同様に、指名やランキングシステムを導入し、そのランキングの結果によって、毎日エンディングが変わるマルチエンディングシステムを採用。自分がどれだけ、好きなホストに貢献できたかが分かる仕組みになっているのだ。さらに、その日の公演で1番多くポイントを貢いだお客さんは、自分が指名したホストから1対1で直接接客を受けられるなど、夢のような特典も用意されている。

山「ホストのランキングに加算されるポイントっていうのは、お客さんがチケットを買ってくれたり、グッズを買ってくれたりしたものなんです。だから、自分が見に行く公演で、自分が応援している人、自分が大好きな人が1位だったらうれしいし、私のおかげだって思ってもらえる。自分が一番になりたいからって、役者同士がバチバチしても面白い舞台にはならないと思うので、そこは演劇としてしっかりお芝居で魅せることでお客さんも喜んでくれて、僕らもお客さんにありがとうって気持ちで、お互いに良かったって楽しむことができる舞台と客席が一体になれるシステムだと思います。結局舞台って楽しませるものだし、僕は何番でもかまわない。その時喜ぶ役者とお客さんがいればいいと思っています」

松「僕も自分の順位とかは全然チェックしてないし、人から聞くぐらいで、全く意識していません。自分を応援してくれる人は自分に投票してくれるって信じているから。それにいいものをステージで表現することで、そこでも順位って変わっていく気もしますので、ファンの方に無理に投票してとも言いません。正直、システムに関しては僕たち役者が口を挟むことじゃないんですけど、ホストクラブならそういうことがあるわけだから、お客さんも一緒に本当にホストクラブに来ている感覚になったり、私たちの力で一番にしよう!って結束したりするのは、ある意味リアルだと思いますけど」

 2人ともホストを演じるにあたり、特にホストに関しての役作りはしていないと言う。

山「僕自身の役がきちんとした接客ができる役ではなく真っ直ぐで自分の思ったこととか、その時に教えられたことをやるホストなので、あまり細かい情報収集とかはしていません。今までホストの役をやった経験もありますし、おおよその基礎は分かっているので」

松「始まる前はホストの基礎ぐらいは勉強しようかなって思ったんですけど、台本見た時とか、演出家の話を聞いた感じが、ちょっと普通のホストとはだいぶ違ったんです。アメリカンな感じって言われたので(笑)。普通、新宿とかで働いているホストとはあり方が違うのかなって。だからこそカリスマ性があっていいのかなって思うんですけど。お酒の注ぎ方とかぐらいは見ましたけど、あまり影響を受けることはないですね」

山「影規のキャラって女の子が作ってくれそうだもんね(笑)」

松「そうそう。自分が頑張って喋ってっていうんじゃない。実際に影規って、NYに留学していたからもともとアメリカのノリなので、無理に一般的にイメージするホストに寄せようとは思わなかった」

 とにかくキラキラした男性がいっぱい出演するこの舞台。

松「こんなに男性だらけの舞台はそんなにないかも。普通、もう少し女の子の割合が多いですよね」

山「僕は蜷川(幸雄)さんのシェイクスピアの舞台で、オールメール(出演者すべてが男性)を経験しているので、男性同士だからと言って特に意識はしないです。でも、男だらけだからこそ、ぶつかり合って、お互いを高めるような役作りができればいいなとは思います。今回はコメディーですし、作品の題材の分、意識を高く持ってやったら、楽しいものになると思うんです。男同士大人数だからチームワークも大事だし、いろんなキャリアの役者がいるので、それぞれが盗めるものは盗んでやろうというか、それこそホストのように、かっこいい人、上手い人、みんなの芝居を見て、その姿勢を真似して、お互いぶつけていい芝居をしてやろうっていう環境作りがこのメンバーならできる気がしています」

松「それはありますよね。これだけ同年代の男性がいっぱい出ていると、僕らの作品になりますからね。誰か一人のものじゃない、みんなで作り上げていく作品。正直僕、稽古なんてどうでもいいと思うんです。って、本当にどうでもいいんじゃなくて、適当にやっても幕が開いたらバッチリできるならそれでいい。でもそんなことできないから、ちゃんとやるんです。だから自分たちがちゃんと自覚を持ってやらないといけないと思うし、そういうのをお客さんが見たときに投票につながってくるかも知れない。この人にしようと思っていたけど、あの人に乗り換えようっていう人がいるかも知れないじゃないですか。それには、自分は今何をしなきゃいけないかを考えて、必死にやるしかないと思っています」

 チャラチャラしたホストにしか見えない外見から、熱い演技論も飛び出し、さらにこの舞台にかける思いがヒートアップ。

山「ビジュアルが好きとか、ファンの方は喜んで見て下さると思うんですけど、それ以上のものにしたいですよね。だって松下くんのファンなら、松下くんのコンサートに行けばいいし、僕のファンなら、他の舞台でもいい。そのほうが、好きな人をいっぱい見られるじゃないですか。でも、この舞台だからお金を払って見に来てくださる方もいるわけだから、その人たちをがっかりさせたくないじゃない。せっかくマルチエンディングシステムっていう新しい挑戦もしているし、それをみんなが注目している舞台だからこそ、すごい舞台を見たなって思ってほしい」

松「裕典君が座長で、僕が出ている限りいい舞台にしたいです。こういう大勢の人間が出演する舞台では、どれだけ周りのスタッフの方が頑張ってくれても、出演者全員が頑張らないといけない。舞台は失敗した人に目がいっちゃうんです。例えば誰かがものを落としたら、別の所で芝居が進行していても、そっちに目がいってしまう。だから100人いたら、99人が良ければいいんじゃなくて、全員が良くないといけないんです。やるからには、できうる限りいいものを作りたいですし、これだけの出演者がいる舞台を全員が緊張感を持って作り上げていければ、すごいものになるんじゃないかと思って稽古しています」

山「先ほども言いましたけど、蜷川さんの男性ばかりの舞台に出演させていただいた時、周りの人にすごく影響を受けたんです。みなさんキャリアがある役者さんですから、ものすごく意識が高くて、毎回稽古場にいろんなものを持ってきて見せてくれる。今回、座長という立場ですから、僕もその人たちみたいに、やっている姿勢を他のキャストの人に見せなければと思っています」

松「僕も今まで主演を多くやらせていただいたので分かるんですが、座長は無理に何かしようとしなくていいと思うんですね。実際、そう言われたこともありますし、ちゃんと背中を見せていればついてきてくれる。座長がしっかりと前を向いてやってくれれば、それをみんなが見て追うじゃないけど、そこに引っ張られて、どんどん向上していくものじゃないかと思います。だから僕も、山本座長を始め、刺激を受けたキャストの背中を見て、自信を持っていい舞台だと言える作品を作りたいですね」

山「そうですね。マルチエンディングシステムという新しい試みの舞台ですし、最後にはお客さんにもご褒美が待っている。お客さんと一緒に作り上げていく楽しさもありますので、見に来るというより、参加しに来てほしい。歌も踊りもあるエンターテインメントもある華やかな舞台になると思います」

松「さすが座長、締めコメントが決まりましたね(笑)」

舞台『私のホストちゃん』
【公演日程】10月25日(金)〜11月4日(月・祝)【会場】青山劇場【出演】山本裕典、松下優也、吉村卓也、上鶴徹、久保田秀敏、松本寛也/五十嵐麻朝、平田裕一郎、塩川渉、鶏冠井孝介、長濱慎、向山毅、廣瀬智紀、町田宏器/貴水博之/ダイアモンド✡ユカイ/オキャディー(甘王)、二瓶拓也、佐藤友祐/池谷のぶえ、香寿たつき【チケット料金】V.I.P.シート 1万5000円(SOLD OUT)、ゴージャスシート 8500円、カジュアルシート 6800円(いずれも税込)。チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、コンビニ店頭で絶賛発売中【公式HP】http://www.hostchan.jp/【問い合わせ】サンライズプロモーション東京 TEL:0570-00-3337(10〜19時)


お気に入りのホストに投票できるモバイル出張所「ホスモバ」
 舞台「私のホストちゃん」では、ホストランキング制度を導入。お気に入りのホストを指名し、自分たちの手でナンバーワンホストを決めることができる。お客さんのランキングもあるので、ホストとお客さんが一緒になってナンバーワンを目指せるのだ。方法は簡単。モバイル出張所「ホスモバ」に登録し、お気に入りのホストを指名。獲得したポイント(ラブ)でホストに貢ぐ。「ラブ」は推しホストの指名、公演グッズの購入、日々のログイン特典や番組、メルマガなどで発表するキーワードの入力などでゲットできる。ケータイ・スマホからアクセス可能。登録は無料。


11月2日13時からWOWOWで視聴者参加の『生中継!! 舞台「私のホストちゃん」』
 事前に「ホスモバ」へ登録することで、視聴者もホストを指名し貢ぐことが可能に。舞台の2幕では、集計結果を受けてキャストが演じることになるため、投票者の1票が生中継のステージの結末を左右する!【日時】11月2日(土)13時 WOWWOWライブにて