VTJ 3rd 藤井惠ドクターストップで引退試合を飾れず
ケージで行われる総合格闘技(MMA)大会『VTJ 3rd』が5日、東京・大田区総合体育館で開催された。
メーンでは長く女子の総合格闘技界を引っ張ってきた藤井惠が引退試合に臨んだ。相手はジェシカ・アギラー。藤井が生涯喫した2つの黒星のうちの1つを献上した相手。そして現在の女子MMAで№1ともいわれる選手だ。
藤井は引退するその瞬間まで「世界一を目指す戦いをしたい」と希望。最後にリベンジの場が与えられた。
しかし勝利の女神は非情だった。1Rにアギラーの指が2度も藤井の目に入るアクシデント。回復のための長い中断と応急処置が施されたが、結局2R終了時点でドクターストップ。0-2による負傷判定で試合は終わった。
その後に行われた引退セレモニーで藤井が「最後まで戦うことができなくてすいません」とわびると、ファンからはねぎらいの声がかけられた。
試合後の会見では「みなさんに応援していただいて、今日を迎えることができたので、これくらいのことで試合をやめたくないという気持ちがあって、試合を続けたんですけど、やっぱり見えなくてパンチをもらってしまって余計に見えなくなってしまいました。指が目に入ったのはジェシカが悪いわけではないです。見えていたらよけられていた。私がよけられなかっただけのこと。それが勝負の世界ということは十分分かっています」と語った。
そしてこれまでの格闘技人生については「格闘技というフィルターを通して、藤井惠という人間がいろんなことを乗り越えてこれたと思うので、格闘技ができたということには感謝しています。総合格闘家としてここまで生きてこられて本当に素晴らしい人生だったと思います。もうこれ以上望むこともないですし、満足した格闘技人生を送らせてもらいました」と語った。
女子で初めて大晦日のビッグイベントで試合をし、VTJでもメーンを務めるという偉業を成し遂げての引退だった。
この日はVTJの常連ともいうべく宇野薫と所英男が「日本vs北米」の対抗戦に出場したが、明暗を分けた。
所は元UFC戦士で虎視眈々とUFC復帰を狙うウィル・カンプザーノと対戦。カンプザーノの圧倒的な打撃にじりじりと劣勢に立たされる。2R以降、タックルからグラウンドに持ち込むシーンも多く作り、試合をリードしたかに見えたが、カンプザーノの打撃でのダメージが深く、1-2の判定で惜敗した。
宇野はVTJ 2ndでDREAMフェザー級王者の高谷裕之を1RKOしたダニエル・ロメロと対戦。こちらも強力な打撃に1Rは冷やりとさせられる場面もあったが、2Rにタックルからテイクダウンするとグラウンドでロメロを圧倒。2分23秒、ネックロックで一本勝ちした。
宇野は試合後「目標は3回目のUFC参戦。この挑戦をやめるまでは(現役は)やめられないです」と宣言した。
また宇野は今大会のMVPを獲得した。