参入が注目されたNTTドコモは今回は見送り アップルが新製品「iPad Air」を発表

 米アップルは22日、タブレット型端末の新製品「iPad Air(アイパッドエア)」を発表した。従来のアイパッドより軽量かつ薄型なのが特徴で、11月1日から日本や欧米で発売する。小型版の「アイパッドミニ」の新モデルも発表した。

 アイパッドエアの画面サイズは従来と同じく9.7インチだが、重量は約3割軽い約450グラム、厚さも約2割薄い7.5ミリとし、持ち運びや操作時の負担を軽減した。液晶画面も高精細化し、最新の基本ソフト(OS)「iOS7」を採用し、情報処理能力は最大2倍になった。日本では5万1800円から。

 一方、アイパッドミニも解像度を4倍に高めた7.9インチ画面を採用。11月中に発売する。日本は4万1900円から。初代ミニも値下げし、販売を続ける。

 米アップルが発表した「アイパッド」の刷新は、昨年の小型版に続く、本体の軽量化が最大の目玉。ただ、機能面での目新しさは乏しく、さらなる販売拡大には疑問符もつく。

 22日の発表会でアップルのクック最高経営責任者(CEO)は「アイパッドのような驚くべき製品はアップルにしかつくれない。他社は追いつけない」と語った。新アイパッドは確かに「軽くデザインも美しい」(アナリスト)と評価する声がある一方、これまで他社をリードしてきた機能面での驚きは乏しい。

 てこ入れとなる今回の刷新には、失望の声が少なくない。

 タブレット市場では、米アマゾン・コムなどライバルが小型版や廉価品を相次いで投入。米調査会社IDCによると、4〜6月期のタブレット出荷台数のシェアでアップルは32%を占めたが、前年同期の60%から半減した。2位の韓国サムスン電子(18%)など、追いすがる競合他社の足音が近づいてきた。

 アップルは先月、新興国市場の出遅れを挽回するため、スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の廉価モデルも投入したが、打つ手が後手に回っているとの指摘もある。

 今回発表された「アイパッドエア」は日本ではソフトバンクモバイルとKDDIが11月1日から発売する。新型の「アイパッドミニ」は11月下旬に発売する予定。

 一方、新型アイパッドを販売する方針を固めたNTTドコモは、23日の発表を見送った。ドコモは、9月に発売したアップルのスマートフォン「アイフォーン」の「販路拡大やメール機能提供などが優先」としている。

 ソフトバンクとKDDIは、アイパッドエアを直営ショップと家電量販店で発売する。ただ、予約は受け付けておらず、購入は店頭での先着順となる。

 一方、アイパッドミニの発売が遅れるのは、新モデルから搭載する高精細な液晶ディスプレーの調達が難航しているためとみられる。このため、十分な供給量を確保するには、時間を要しそうだ。