SPECIAL INTERVIEW girl next door

5年間の集大成ベストを発売! 12月にはファイナルライブ

12月8日のライブをもって解散することを発表した男女混成ユニット、girl next door(ガール・ネクスト・ドア)が、ベストアルバム『girl next door THE LAST』を20日、リリースする。デビューしてから5年のあいだに発表してきた作品を網羅、新曲も収録したキャリアの集大成となる作品だ。3人にインタビューした。

 解散まで1カ月を切ったgirl next door(以下、ガルネク)の面々の表情は予想以上に明るかった。「これといってドラマティックなこともなくて、こういうこともあるよねって自然な感じ」と、ガルネクの楽曲の要を担ってきた鈴木大輔は言う。
 2008年にシングル『偶然の確率』でデビュー。たくさんの期待と注目を集めてのスタートだったが、「プレッシャーはあんまり感じてなかった」と、メンバーは口を揃える。「当時は、ひたすらスタジオで作業の日々。テレビや雑誌に触れる時間もないほどで、デビューシングルがリリースされた感覚もなくて、実感がないまま、1年半ぐらいの時間が過ぎていました」と、鈴木は振り返る。

 大きなターニングポイントのひとつが、最初のライブツアー。「ファンのみんなの想いを肌で感じられるようになって、考えることもがらりと変わった」と、ボーカルの千紗。聞いてくれる人たちがいるってことを目の当たりにしたことで、「自分たち自身の姿も見えた」と鈴木も言う。「それによって、ライブで盛り上がる曲を作りたいだとか楽曲にも変化が出てきたんです」
 それとともにガルネクそのものも変化。「その意味では『Ready to be a lady』(2010年リリースのシングル)もターニングポイントになってると思う」と、ギターの井上裕治。「ミュージックビデオには自分たちの意見がいろいろ反映されているんです。アイデアとか衣装だとか自分たちの考えが表に出始めたタイミングでしたね」

 5年間の活動を通して、大切にしてきたのが、身近な女の子というユニット名が示す「親近感」。「曲はもちろん、アーティストとして、一個人としてもそれを大事にしてきました」、と千紗。「歌詞についても、自分の実体験を1行でもいいから入れてきたのも、そうしたほうが共感してもらえる部分が多いんじゃないのかなって」

 千紗は、20日に発売されるベスト盤『girl next door THE LAST』の収録曲すべての歌詞を改めて手書きした。歌詞カードのためだ。「この5年間、作詞をしてきて、それをそのまま出すんじゃなくて、何かをして聞いてくださる人たちに届けたいと思ったんです。書きながら、これだけの曲を出してきたんだなって心と腕で感じたし、制作時のことや、歌番組やライブで歌ったときのことが浮かんできました。当時、自分が感じていたこととかを振り返りながら、自分自身も成長できたんだって感じましたね」

 本作には新曲『URBAN DANCE』も収録。ミュージックビデオにもこだわったという本作は、ポジティブでポップでアッパーなナンバーで、ガルネクらしい曲。「最後だからバラードっていうのもどうなんだ?っていうのがあった」としたうえで、鈴木はこの楽曲の生まれた経緯を説明する。

「実は以前からあった楽曲なんです。歌詞もついた状態で。もちろん、改めて曲を作るという選択肢もあったんですけど、正直なところ、これからガルネクの3人が別々の道を歩んでいく状況で一から作ると切ない気持ちになっちゃいそうで……。だったら、3人が同じゴールを目指していた状態で作って完成している曲を使って制作したほうが、自分たちらしい作品になるんじゃないか、クオリティーの面でも最後の曲としてふさわしいんじゃないかって考えたんです」
「Don’t forget, we don’t forget」。忘れないで、私たちは忘れない—。千紗の透明感のある歌声が響く冒頭に、少し胸がつまる。

「歌詞は書き換えているんですが、この部分は一番最初に浮かびました。5年間の感謝の気持ちと、忘れないでっていう気持ちも込めました。終わりを悲しむだけじゃなくて、そこからポジティブに行きたい。そういう思いを聞いていただける皆さんにも感じてもらえるんじゃないかなって思います」

 12月8日にはラストライブに臨む。ライブは、これまでのガルネクとは一味違って、「ストーリーのあるショー仕立て」になるという。「ライブハウスでライブをすることも多かったし、僕たちは意外と肉体派なライブをやってきたんですよね。だから最後は、ちゃんとセットを組んでみたりしてみようかなって思っています。最後ですけど、なんだかんだ新しいことをやる予定」と、井上。

 ライブのあとは、それぞれ別の道をゆく。鈴木は「しばらくは作家活動に集中」、井上は「謎の執筆活動」とのこと。そして千紗は、すでに報道されているように、「大切な人を支えていく」。

「自分の未来を考えて出した結論」と、千紗は笑顔を見せる。「そのためにも、最後のライブのステージでやりきった!って笑えるように、今はそこに集中して向かっています。新しい始まりで世界も広がっていくわけだから、笑顔で終われるんじゃないかなって思いますね」

 最後のステージに向けて、3人はいま全力疾走している。
(本紙・酒井紫野)

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『girl next door THE LAST』

4形態での発売。アッパーな楽曲のみを収録したCDとバラードを収録したCDを組み合わせた『girl next door THE LAST〜UPPER & BALLARD SELECTION〜』(CD2枚、DVD1枚)5250円、シングル曲を網羅する『girl next door THE LAST〜A SIDE SINGLE BEST〜』(CD2枚)3500円、ファンの要望を踏まえつつアルバム収録曲をまとめた『girl next door THE LAST〜ALBUM COLLECTION〜』(CD3枚)6300円。さらにシングルベストとアルバム曲ベストの2作品にレア音源やミュージックビデオ、ライブ映像、ブックレットなどを収録した『girl next door THE LAST 〜PREMIUM COMPLETE BOX〜〈A-SIDE SINGLE BEST + ALBUM COLLECTION〉』2万1000円(完全受注生産)がある。すべてエイベックスより11月20日(水)発売。詳細は公式ウェブサイト(http://girlnextdoor.jp/http://girlnextdoor.jp/)で。