マー君の今オフメジャー挑戦は果たして実現するのか!?
メジャー挑戦が注目されるプロ野球楽天の田中将大投手(25)の今オフのメジャー挑戦に暗雲が立ち込めてきた。
米球界への移籍手段のポスティングシステム(入札制度)の見直しを含む新しい日米選手協定の締結が遅れている問題で、日本プロ野球選手会は14日、日本野球機構(NPB)に新入札制度について、協定の有効期間である2年間限定で承認することを伝えた。18日の実行委員会で12球団の了承を得て、米大リーグ機構(MLB)と締結後、早ければ月内にも運用が開始される見通しだった。
しかしMLBのマンフレッド最高執行責任者(COO)は14日(日本時間15日)、日米間で合意に達していたポスティングシステム(入札制度)の新制度を取り下げ、修正案を提出することを発表した。修正案の作成には数週間かかるとみられ、田中投手の動向にも大きく影響を及ぼすことになる。
米フロリダ州で行われたオーナー会議後の記者会見で、マンフレッドCOOは「日本の総意が出るのに時間がかかりすぎて情勢は変わった。新制度を取り下げ、修正案を提出する」と語った。
新制度では最高入札額を得た日本の球団が、最高額と2番目の間となる金額を得られる点などが変更された。
新入札制度はNPBとMLBの間でほぼ合意に達し、当初は日本シリーズ終了後に発表を予定していた。しかし、1日に選手会が再考を求める意見書を提出したために延期。月内にも運用される予定だったが、この間の遅れが態度を硬化させる要因となったとみられている。
MLBの最大の狙いは入札金の抑制にあるといわれている。ちなみに田中の落札額は7500万ドル(約75億円)に達すると予測されている。入札制度は大リーグ全30球団に与えられた権利なのだが、ここまで高額になると、参加できるのは資金力の豊富なチームに限られる。資金力のないチームからは不満の声が出ており、年俸総額の規定額を超えた場合に課される「ぜいたく税」にからめ、入札に要した金額を年俸総額に組み込んで入札額の高騰を抑制する案も出ているという。
選手会の意見書提出によって合意は延期となったが、NPBの井原事務局長も「(提出後から)そんな話はあった」と明かし、「あくまで結果論だが(延期の)影響はあったと思う」と話した。井原氏は20日にはMLB側との交渉を再開したことを明らかにし、今後の修正案について「ボールは向こう(MLB)にあるが、状況によってこちらから提案することもある」と話したが、果たしてその行方は…。
話し合いの時間は十分にあった。NPBは2011年オフからMLBに対し、新制度の提案をしてきた。しかし、MLB側はドーピング問題などの対応に追われて“棚上げ”にし、協議再開はことし9月に入ってからだった。
一方のNPB側は12球団の意見を集約して交渉に臨んだが、今回の入札は特定の球団と選手に限られた問題だったことは否定できない。ある球団幹部は「話し合いには参加しているが、この問題に対して熱がない」と冷めた態度で話した。そこに選手会が“待った”をかけたことで日本球界としての結論はずれ込み、MLBに付け入る隙を与える結果となった。
MLB側の修正案だけでなく、NPBの意見集約にも時間がかかるのは必至で、決着は越年の可能性も出てきた。合意時期が遅れるほど入札額は抑えられ、日本の球団が得る金は減る。そればかりかチーム編成が進めば、移籍を目指す選手の条件も厳しくなる。米球界挑戦を模索する楽天の田中にとっては、まさに暗雲というほかない。