小池百合子のMOTTAINAI 国家戦略特区の拡大でアベノミクスを浮揚すべし

 もう20年にもなりますが、私が最初に担当した行政の仕事は総務庁の政務次官として、でした。

 地ビールや携帯電話端末の売り切り制度導入の規制緩和もその頃の成果です。当時は通信兵が担ぐようなショルダーフォンでバカでかく、料金も一通話300円などバカ高かったのを覚えています。

 それが今や、子供でさえ携帯する必需品。おまけに小さなコンピューター以上の機能を持つまでに至っています。

 地ビールも、それなりに地域おこしに一役買っています。規制緩和が世の中を変えた好例と言えましょう。

 地域の発想で、地域による活性化を図るための実験地域としての「パイロット自治体制度」も進めました。

 今でいう「特区」にあたります。

 こちらの成果はさっぱりでした。

 手を挙げた意欲のある自治体が、国の規制や国と市町村の中二階ともいえる都道府県の管理を離れ、街づくりや新たな産業を創造することを期待しての政策です。必要な財源も手当てしましたが、その分、国や都道府県からの交付金を削られ、お仕置きを受けました。

 その後も、様々な「特区」が導入されましたが、成功例は、小泉政権時代の「どぶろく特区」くらい。それとて日本経済の構造を大きく変えるほどの効果があったとは到底思われません。

 要は、霞が関の「手取り、足取り」の規制が岩盤である証左なのでしょう。「特区」を設けることで、「規制緩和、やってまっせ」とのアリバイ作りに使われています。国家賠償責任を問われた場合のリスクを取りたくない気持ちも理解しますが、日本のガラパゴス化を進めた原因とも言えます。

 アベノミクスの三本目の矢である成長戦略をスピーディーに実現するため、安倍政権では新たな「特区」制度として、国家戦略特区を設けました。東京も国家戦略特区とされましたが、23区のうちわずか9区しか対象になっていません。思い切って対象を広げるべきでしょう。

 地元の豊島区でも、思い切った少子化対策や景観や防災の観点から無電柱化を進めるなど、全国のモデル地域に挑戦する計画があります。特に、木造密集地域の多い地区だけに、再開発と無電柱化をセットで進める。老朽化したガス管、水道管の更新と合わせて電力線などの直接埋設などを思い切って進めたいものです。

 今度こそ、真に実効性ある「特区」でアベノミクスの三本目の矢、成長戦略を本物にしていかねばなりません。想像力と突破力で勝負です。

(衆議院議員/自民党広報本部長)