FUJI ROCK FESTIVAL’14リポート
みんな集まれ!苗場で音楽の夏祭り
日本が世界に誇る夏フェス、フジロックフェスティバルが7月25〜27日の3日間、新潟・苗場スキー場で開催された。例年通り国内外のトップバンドや実力派アーティストが集まったフェスには、トータル10万超のオーディエンスが足を運び、音楽の夏祭りを堪能した。
フジロックは祝祭ムードだった。初日と2日目は目が覚めるような青空が広がり、最終日は雨がちなフジロックらしい天候になったが午後には神々しささえ感じる柔らかな日光が差した。そんな環境の下で、国内外のトップバンドやアーティストたちがライブパフォーマンスで10万を超えるオーディエンスを笑顔にした。
「ライブ演奏を楽しむ」のはいうまでもなく、「音楽で楽しむ」ことやその場所にいることをみんなで楽しむことを提案してくれるのがフジロック。それを最も象徴するアクトとなったのが、初日に登場した大友良英スペシャルビックバンド・プロジェクトFUKUSHIMA!オールスターズの大盆踊り大会。とっぷりと日も暮れた夜9時すぎ、エントランスから歩いて約40分、フェスサイトの深部にあるオレンジコートにはあふれんばかりの人が詰めかけた。演奏時間の始まる数分前「みんな聞いていないふりをしてね」(大友)と浴衣姿の大所帯バンドがリハーサル。本番では『あまちゃん音頭』『すみだ川音頭』『地元に帰ろう音頭』と、振りつけの指導つきでパフォーマンス。新曲『ええじゃないか音頭』では見知らぬ者同士が手を取って踊った。
中日のトリ、カナダ出身のアーケイド・ファイアも祝祭感あふれるライブで魅了した。世界中の夏フェスでヘッドライナーを務める彼らはみなジャケットやドレス姿で、キラキラしたステージにマッチ。冒頭から、ボーカルのウィリアム・バトラーがカメラマンからカメラを取り上げて観客を撮影したり(写真4)、セルフィー(自撮り)をする素振りを見せて喜ばせ、紙吹雪がステージを覆い尽くしたフィナーレ『Here Comes The Night Time』『Wake Up』まで、オーディエンスの心を揺さぶり続けた。
祝祭といえば、語らずにはいられないのが、摩訶不思議でファンタジックなライブで中毒者続出の米バンド、ザ・フレーミング・リップス(1面)だ。いつも通りメンバーが自ら最終チェックに登場。ぼんやりと暗いステージの上でごそごそ動くボーカル、ウエイン・コインのフォルムに好奇心がくすぐられるなか、ライトを浴びて再登場した彼に観客の多くがギョッとし、にんまりした。衣装は、着れば誰でも筋肉標本になれる全身タイツだった。初めてのフジロックは冒頭から紙吹雪をばら撒き、ハッピーを振りまいた。演奏終了後にはセットの金色のバルーンまでおすそわけしていた。
その他にも、25周年を祝う電気グルーヴ、沖縄サウンドでアッパーな時を届けてきたBEGIN、澄み切った演奏で青空を呼び戻したアウスゲイル、そしてすべての人の足を止めさせたオオカミバンドのMAN WITH A MISSION、加山雄三率いるTHE King ALL STARSと、例年以上に国境も言語も文化もジャンルも年齢も超えてみんなが集まった。飛び入り参加した鳥羽一郎も含めて、苗場の山の3日間の夏祭りはとてつもない盛り上がりをみせた。