上々颱風のボーカル・白崎映美主演の舞台『まつろわぬ民』
上々颱風のボーカル・白崎映美の初めての本格的な舞台出演となる風煉ダンス『まつろわぬ民』が10月9日から仙川のせんがわ劇場で上演が始まる。
白崎演じる老婆スエが住むゴミ屋敷に、ゴミ撤去の代執行がかかる。しかしこの屋敷にあるゴミはただのゴミではない。時空を超えて、過去の東北の蝦夷、まつろわぬ民たちの亡霊が姿を変えたものだった。物語は現代と過去を行き来しながら、ゴミ撤去のアルバイトの若者、土地を狙う人々などのさまざまな思惑、過去の東北がからみ進行する。
「白崎さんは山形出身で、酒田の大火に遭ったときに太平洋側の東北の人たちにすごく助けてもらったそうです。なので東日本大震災を受けて自分に何ができるんだろうと考えていたときに、木村友祐さんという作家の『イサの氾濫』という小説にインスパイアされて“白崎映美&とうほぐまづりオールスターズ”というバンドを作ってライブを続けているんです」とは脚本の林周一。
「白崎さんに同名の楽曲があるのですが、その歌にインスパイアされた作品です」とは演出の笠原真志。
風煉ダンスは笠原と林が1990年に作った劇団で、常に問題意識を込めたテーマの作品を発表し続けている。
林「2011年以降は、そういう意識は強くなっているかもしれません。前作ではレーニンをテーマとした土地の収奪の話を書いたんですが、福島のことを思うところもありました」
現代と過去がつながる、あるいは行き来するなかで、登場人物の若者たちの心境は大きく揺れ動く。それを見る我々観客にもさまざまな考えや思いが浮かび、そして考えさせられる。
笠原「過去を忘れると今が危ないとかね。最近みんながうっすら右傾化していく感じがあるのは、やはりそういうことなんだと思いますね」
美術にも定評がある風煉ダンス。「2年ぶりにダンボール彫刻家の本濃研太が参加し、膨大なゴミ屋敷のゴミをひとつひとつ彫刻するという途方も無い作業に没頭しています」(笠原)とのこと。芝居はもちろん、セットも一見の価値あり。
詳細は風煉ダンスHP(http://furen-dance.info/)で。