小池百合子のMOTTAINAI アベノミクス中間選挙。Yes or No!
突然の衆議院解散・総選挙。
私は今回の選挙は「アベノミクスの中間選挙」だと位置付けています。
「異次元の金融緩和 」「機動的な財政政策 (財政出動)」「民間投資を喚起する成長戦略」の三本の矢からなるアベノミクスの最大の目的は「デフレ経済からの脱却」です。
皆が、今日より明日の方が安いと思えば、購買意欲は湧きません。ならば価格を下げて売り込もうとすると、安売り競争に拍車がかかり、ますます悪循環に陥ります。これがデフレです。
企業の利益が出ないからと、人件費を削れば、労働意欲に影響します。昨年よりも今年の給与の方が下がるとなると、がんばる意欲も低減します。給与が下がれば、ますます安い商品やサービスを選ぶようになり、悪循環に拍車がかかり…。
これらの悪循環を断ち切ることを目的とする中で、今年の4月に消費税の税率アップが行われました。駆け込み需要を喚起し、アベノミクスは順調に進んでいるかのように見えましたが、賃金上昇が物価上昇に追いついていません。
安倍総理が最初に手を付けたのは経済界に対する「賃金アップ」要請だったことを覚えていますか。「春闘」は経営側に労働組合が賃上げを要請するものですが、日本は総理大臣が労組の役目を務めるのです。
総理の呼びかけに最初に応じたのはコンビニのローソン。若手社員を中心に賃上げに踏み切りました。ローソならぬローソンが春闘の主役となったのです。
「この春、平均2%以上、給料がアップしました。過去15年間で最高です」
安倍総理は19日の記者会見でこう誇らしげに語りましたが、逆にいえば5%から8%への消費税率アップには賃金の上昇は単純計算でも届いていないことになります。株価が2年たらずで倍になったとはいえ、多くの国民にはアベノミクスの恩恵、実感は届いていないわけです。
第三四半期(7〜9月)の実質GDP(国内総生産)速報値が想定外に下回った(年率換算1.6%減)ことから、景気刺激策を打ち出したくとも、人手不足がネックになっています。円安効果も資材や原料輸入高で相殺されています。
「アベノミクスの失敗」と野党は口を揃えますが、では野党にどんな政策があるのか。あるのは選挙に勝つためだけの「右派と左派のミックス」でしょうか。
ここは、成長戦略を研ぎ澄ませ、労働・雇用環境を整えることです。増税時期の延期と確実な実施の是非を国民に問い、あらためてアベノミクスを前進させる。
日本の正念場において、皆さんの選択と覚悟を確認する、「アベノミクス中間選挙」なのだと思います。
(自民党前衆議院議員)