SPECIAL INTERVIEW 芋洗坂係長
大きな体でキレキレのダンスを踊る芋洗坂係長。そんな身軽な巨漢が戦隊ヒーローとなり舞台に登場。その名も“カゾクマン”。家族経営?お茶の間サイズ?の戦隊ヒーローたちは日本の、いや地球の平和を守れるのか?!
戦隊ヒーローといえば定番はイケメンの若手俳優だが、今回芋洗坂係長が出演する『世襲戦隊カゾクマン』は、文字通り代々家業として戦隊ヒーローを世襲してきた普通の家族が主人公。芋洗坂係長はそこで、どんな役を演じるのか。
「カゾクマンというぐらいですから、出てくる5人の戦隊ヒーローが家族という設定で、それを家族の中で代々世襲し、跡を継いでいくスタイルなんですね。その中で僕は婿養子なので、ちょっと家族の中でも立場が違うという。家族の中では一番立場が弱くて、肩身の狭い思いをしている(笑)。でも人一倍一生懸命、熱い思いを持ってカゾクマンをやっているという男ですね。戦隊ヒーローといっても、いわゆる普通の戦隊ものとは違い基本人間で、変身するというより着替えるというスタイルをとっています(笑)。だから人間が頑張っているというか、リアルな社会の中でヒーローを名乗っているという感じです。ちなみに世間の人には正体はバレバレです(笑)。なんだったら“あの家のあの人たちがカゾクマンなんだよね。でも最近全然活躍してないね”って言われる感じ(笑)。確かに、カゾクマン自体も年齢層といいますか、全体の平均年齢が上がってきているので、なかなか自分たちの力で、宿敵ミドラー一族を退治できない。年を取ると腰痛とかいろいろ体にもガタがきますし、世襲問題もうまく進まず、自衛隊に迷惑をかけてしまう…みたいな事も(笑)」
カゾクマンでありながら、婿養子で肩身の狭い思いをしているというグリーンを演じる芋洗坂係長。その見せ場は?
「これがあるんですよ。もちろん、ダンスもありますし、随所に見せ場はあります。婿養子ということで温厚で、なるべくいさかいが起こらないように、何事も穏便にというキャラクターなんですが、自分がカゾクマンの一員だということに関しては、誰よりも誇りを持っている。カゾクマンって、実は3代目なので、3代前のカゾクマンは、幼い僕のヒーローだったんです。だから子どものころからカゾクマンにあこがれて、3代目のカゾクマンに入れたことは夢が叶ったということなので、情熱というか熱い思いをいつも胸に秘めている。その思いの強さが、どうなるのか…。期待していてください。って期待にそえるかどうか分かりませんが(笑)」
山口良一、熊谷真実など個性あふれる共演者も見どころ。
「そうなんですよ。本読みの初日から、本当の家族なんじゃないかっていう空気感でやらせていただいています。もうね、みなさん面白すぎて、気を許すと笑っちゃうんです。真剣にやればやるほど自分のツボに入って、つい吹き出しちゃう(笑)。実は今回、自分は結構シリアスな背景を背負っていて、真面目なシーンが多いんです。だからこそ、そんなシーンに小ネタが挟まって来ると“絶対に笑っちゃいけない”という状況が余計にヤバイんですね。普段は役柄的に“ボケ”というか、積極的に笑いを取りに行くような役が多いので、いつもとは逆かもしれませんね。でも、あくまでもコメディーなので(笑)そんな姿も含めて笑って頂けると嬉しいです。今回は、ジャンルも異なる役者さんが揃いながらも、上手くまとまって来ているので、皆さんさすがだなぁと思います。本当に楽しい稽古場です」
芋洗坂係長といえば、来年日本で上演されるディズニーのミュージカル「アラジン」のジーニー役のオーディションを受け、惜しくも落選したということが最近ニュースに。
「ジーニー役はずっとやってみたいなっていうあこがれがありました。手応えはあったんですがダメでしたね。手応えといっても、ミュージカルなので、すべてが総合的にできなければダメなので、自分は歌の部分とかが、まだまだ実力不足だなと感じました。でも、笑わせた手応えはあった(笑)。自分の笑いはディズニーの方にも通用するんだなと。いやいや、通用するは言い過ぎですが、受け入れてもらえたなという感じは、その時はありました。再挑戦? そんなにしょっちゅう募集はしないと思いますけど、歌をもっと勉強して、チャンスがあれば、チャレンジしてみたいですね」
もともと俳優出身で、ミュージカルにも多数出演。大きな体でキレキレなダンスを踊るには普段のトレーニングがさぞやキツイのでは…。
「まったくトレーニングとかしていないです。それはものすごくストイックですよ。動かないということに関しては(笑)。本番で動けるように、体力を温存しなければいけないので、普段はなるべく動かない。それって、一番ダメなパターンで、普段からちゃんとケアしなきゃいけないんですけど、本当に何にもしていません。だから、からだが動くうちになるべくミュージカルとかやっておきたいなと。僕ももう40代後半なので、やせていても俊敏に踊るには、そろそろ限界がくると思うので、体が動くうちにいろいろとやらせていただこうと思っています。以前、少年隊の東山さんとお仕事をご一緒させていただいたんですが、まあストイックな方で、本当に自分と真逆な方だとつくづく思いましたね。でも僕は舞台や本番で瞬発力を出すために、黙って温存するスタイルなので、真似はしません(笑)。ただ、舞台で瞬発力を出して、終わったあとは魂が抜けたようになっている(笑)。ほんとに、毎回この体がよく動いたなっていうぐらい命懸けです(笑)」
そんな命懸け?で挑む今回の舞台。もし、自分が観客だったら?
「バカな一家だと思うでしょうね(笑)。でもその中に愛がある。ヒーローものではありますが、すごく等身大で、現実の社会にいる一家を描いているので、家族愛とか親子愛とかを感じていただけるんじゃないでしょうか。ちょうど年末なので、舞台を見たあとに、田舎に帰ってみようかなとか、家族っていいなと思えると思います。野望としては、シリーズ化していきたい(笑)。カゾクマンはどう世襲していくのか。その前に世襲できるのか。続きはどうなるんだろうって期待を持たせて終わるかも(笑)。そんな年末最大の娯楽をぜひ見に来て下さい」
(本紙・水野陽子)
世襲戦隊カゾクマン
【日程】12月19日(金)〜28日(日)【会場】赤坂レッドシアター【料金】前売り4500円、当日4800円、高校生以下2500円(すべて全席指定・税込)【問い合わせ】プリエール TEL:03-5942-9025(平日11〜18時)