小池百合子のMOTTAINAI ギリシャはなぜあんなに強気に出られるのか
平成27年度国家予算の審議が始まりました。私も予算委員会の一人。実況TVカメラの死角のような場所に座っています。わざわざ目立たぬ位置に追いやってくれました。
さて、このごろ世界で最も目立っているのはギリシャの若きリーダー、40歳のアレクシス・チプラス首相でしょう。革ジャン姿のヤニス・バルファキス財務大臣との共通項はクールビズ。一歩間違えば「だらしない」感じですが、そこは二人ともかっこよく決まっており、女性の間でも大人気だとか。
カッコ悪いのは、借金だらけの財政です(日本も同じですが)。借金、赤字財政でにっちもさっちもいかず、仲間のEU諸国から支援を受けねばならないのに、強気に居直っているのがチプラス首相です。
世界の金融危機の震源地となったギリシャは、その後EU諸国からの支援を受ける条件として、緊縮財政を迫られました。しかし、爪に火をともすような生活にはもう耐えられないと、アンチ緊縮財政派のチプラス氏への支持が広まったわけです。だから、首相となったチプラス首相もそう簡単に宗旨替えはできません。
「だって、ユーロ圏から抜ければ、困るのは皆さんでしょう?!」と弱者の恐喝まがいで、ドイツなど他のEU諸国には大迷惑です。
なぜチプラス首相は強気なのか。
彼は革命家チェ・ゲバラを崇拝しており、自分の息子にゲバラの名前から得るネストと名付けるほどの急進左派です。
首相就任後、中国、ロシアから相次いで招待状が舞い込んだといいます。
かたやユーロは、もしギリシャがユーロ圏から抜けるようなことがあれば大激震に見舞われるでしょうから、必死で引き留め策を講じています。
ロシアはウクライナにも地理的に近く、ギリシャを味方につける政治的効果はきわめて高い。中国はすでにピレウス港などの利権を入手するなど、ヨーロッパでの戦略的拠点が確保できれば、よし。
つまり、ギリシャにとって、EUと中露を天秤にかける局面にあるわけです。
アベノミクスも株価、為替などの期待値を反映する数字に頼るだけでなく、これから実態を伴った景気の確保が急がれる段階に入っています。4月には大企業を中心に昇給などが進むものと期待できます。ですから、国内の政策よりも、むしろ外的要因が気になるアベノミクスの三年目。
ギリシャの神々に祈りますか。
(自民党衆議院議員)