春はお別れの季節です。有楽町&渋谷のランドマークその長い歴史に静かに幕

 さようなら」と「はじめまして」が交差する3月。東京の風景のなかにも、いくつもの別れがある。長きにわたりランドマークとして愛されてきたビルが、その歴史に静かに幕を下ろしている。

 駅を中心とした大規模な開発が急ピッチで進んでいる渋谷では、西口駅前の「東急プラザ 渋谷」が22日に閉館。1965年に専門店複合商業ビルとして開業して以来、49年間続いてきた歴史にピリオドを打つ。昨年4月からフィナーレに向けてさまざまな企画が行われている。店舗の前面に掲げられた「閉館」の大きな文字を感慨深げに見上げている人も少なくない。

 同館では22日まで、完全閉館売りつくしセールが行われているほか、レストランフロアでは特別メニューを提供している。また、渋谷の過去から未来までを、写真とジオラマ、映像で体感できる「東急プラザ 渋谷 タイムスリップギャラリー」(入場無料)も展開中で、汽車が走っていた明治の渋谷や、東横線の並木橋駅、空中ケーブルカー「ひばり号」など「東急プラザ 渋谷」以前の渋谷の風景なども見ることができる。子供からお年寄りまで、たくさんの買い物客が変化する渋谷の様子に足を止めている。

 有楽町では8日、今年で創業77周年を迎えた「ニュートーキョー数寄屋橋本店」が閉館した。日本で初めての総合飲食ビルとして、1937年(昭和12年)にオープン。今でこそ高層ビルが立ち並ぶが当初は一際背が高く、ビヤホールには多くの人が詰めかけて楽しい時間を過ごした。ビルそのものは閉館となるが、ビアホールは有楽町電気ビル地下に移転し、すでに営業を始めている。 

 ともに、周辺の再開発のための閉館。寂しさを感じつつも、新しい東京への期待を胸に街歩きを楽しみたい。