5・3修斗 世界バンタム級の菅原と環太平洋ライト級の斎藤が新王者に
プロフェッショナル修斗公式戦「MOBSTYLES 15th Anniversary TOUR FIGHT & MOSH」(3日、東京・後楽園ホール)で2つのタイトル戦が開催され、ともに新王者が誕生した。
メーンでは世界バンタム級チャンピオンシップ(5分5R)が行われ、初防衛戦となった王者・神酒龍一は菅原雅顕に2-0の判定で敗れた。
ともに打撃を得意とする両者とあって、試合は1Rからタイトな削り合いとなる。ローキックとパンチで試合を組み立てる菅原に対し、神酒は序盤からタックルを交えた多彩な攻めを見せる。何度かタックルからテイクダウンに成功するも、菅原は倒れ際に巧みなポジション取りを見せ、神酒になにもさせずにすぐに立ち上がる。また、倒されても下からヒジを放つなど神酒のグラウンドでの攻撃を封じたことから、神酒の一連の動きはポイントとして認められなかったようで、試合全体を通じてプレッシャーをかけ続けた菅原が微妙な判定を制し、タイトル初挑戦で世界のベルトを手にした。
ちなみに菅原は2005年5月4日デビューで、まさに苦節10年での晴れ舞台となった。
セミファイナルでは環太平洋ライト級チャンピオンシップ(5分3R)が行われ、こちらも初防衛戦だった王者・中村ジュニアは斎藤裕に3-0の判定で敗れた。
斎藤は中村が小刻みに繰り出す左ジャブのフェイントに合わせ、カウンターの右フックを的確にヒット。打撃では分が悪いと判断した中村がタックルに活路を見出そうとするも、斎藤はそこにもカウンターのパンチを合わせる。タックルを許しても、絶妙のボディーバランスでダウンを許すこともなく、2R終盤にはタックルを潰して逆にバックを奪い、パウンドからスリーパーであわやの場面を演出した。後がない中村は3R開始から積極的に仕掛け、一度はテイクダウンし上のポジションを取るものの、斎藤はなんなく脱出。再度のタックルも時計にちらりと目をやる冷静さで対処する。中村は最後の最後に起死回生の投げを見せるも、斎藤は逆に体を乗せ、上をキープするとパウンド、ヒジを連打し、ゴングを迎えた。
3-0の判定ながら、ジャッジの1人が30-26をつける完勝だった。
タイトル戦以外にも好カードが並んだ今大会。環太平洋フェザー級王者の根津優太がラージャ・シッペンを相手に初の国際戦に臨んだ。シッペンはVTJで宇野をあと一歩まで追い込んだ強豪。
ともにムエタイ流の打撃を得意とするだけに、試合前から“かみ合う”打撃戦が期待されたのだが、予想を上回る激戦に。根津は1Rから徹底したローキックでペースを握る。嫌がるシッペンは遠くからの飛び膝を放つがそうそうには当たらない。しかし一瞬で距離を詰めてのヒジで根津を冷やりとさせる。根津は2Rには飛び込んでくるシッペンを組み止め、テイクダウンからのパウンドであわやKOの場面を作る。前回の石橋戦では前半にいいパンチを食らい、熱くなってしまった根津だが、この日は最後まで冷静な試合運びを見せ、3-0の判定で勝利を収めた。
また今年、大きな盛り上がりを見せるフライ級注目の、飛鳥拳vs猿丸ジュンジの一戦が行われ、猿丸が1R2分、KOで勝利を収めた。世界ランキング1位の飛鳥と4位の猿丸の対戦とあって、次期挑戦者決定戦の意味合いもあった試合。入場から気合入りまくりの猿丸はゴング早々、いきなりラッシュをかける。左に回りながらさばく飛鳥だったが、猿丸のプレッシャーは半端なく、下がる一方。最後は猿丸が右ストレート一発で飛鳥をKOで葬った。
ちなみに、この試合前、7月26日の後楽園大会に、世界フライ級王者の内藤のび太の参戦が発表された。同門の内藤と飛鳥はともに対決を望んでいないことから、この勝利をもって猿丸の王座挑戦決定か!? と思われたのだが、猿丸は今回左足首の故障を押しての参戦とあって、姿を見せた内藤に「7月は…。怪我をしているので治してから。11月くらいにタイトルマッチを、その間に(内藤選手が)負けてたら違う選手になっちゃうんで、お願いします」とアピールした。
果たして、7月の内藤の相手は誰になるのか。そしてそこを突破して11月に内藤vs猿丸戦は実現するのか…。