東出昌大の初舞台が幕開け!若きチェリストを熱演
東出昌大が初めて舞台に挑む『夜想曲集』が11日、天王洲・銀河劇場で初日を迎えた。『日の名残り』『わたしを離さないで』などのカズオ・イシグロの短編集を舞台化したもので、東出は若きチェリストを好演している。
舞台は、3つの短編を1つの物語にしたもの。かつてはスポットライトと喝采を浴びた老歌手と華やかな場所にい続けようと努力する美しい夫人、売れないサックスプレイヤー、傷つけられることを恐れる女性...。それぞれの物語が静かに綴られる。東出は本紙のインタビューで、「とても静かな芝居で、いろんなことを明言しないんです。誰かに対する想いだとか」と話していた通り、2時間弱の舞台は冒頭からラストまでセレナーデのように優しく展開。そのなかにも笑いが起きるシーンもあり、見ているうちに自身も物語の一部になっていくような感覚が得られる。
東出は、あこがれの人との偶然の出会いに興奮したり、不思議な女性との出会うことによって演奏について考えたりと、他キャストと比べると比較的感情の起伏が多い役どころ。舞台の大半で顔を包帯でぐるぐる巻きにしている安田成美を始め、近藤芳正らの演技にも引き込まれる。
大きな波がある舞台ではないが、さざ波のように心が波打つ作品。24日まで同所で。