一番ミステリアスなのは、男女の心!? 『イニシエーション・ラブ』

 誰もが経験するような“最初の恋”を綴った普遍的なラブストーリーか。それとも、驚愕のしかけが巧妙かつ大胆に隠されたヒューマンミステリーか。見た人の視点によって、まったく違う楽しみ方ができる、かつてないラブスト—りー。原作は、甘く切ない、一見純粋なラブストーリーが、最後の2行で驚愕のミステリーへと変貌するという独創性で、大きな話題を呼んだ乾くるみの大ヒット小説。映像化不可能と言われ続けた作品の映画化に、巷では原作ファンが“あの仕掛けをどう映像化するのか”と熱い視線を寄せているなか、メガホンをとったのは『20世紀少年』『TRICK』『SPEC』の堤幸彦監督。映画の達人・堤監督が仕込む映像的ギミックが、衝撃のエンディングを演出。映画最後の5分に待ち受けるのは、果たして…?

 大学生のときに知り合った恋人・マユと、社会人になってから出会った同僚の女性との間で揺れる青年・鈴木役に松田翔太。可愛らしくもどこか謎めいているマユ役に前田敦子。“ごく普通の恋人同士”を演じながら、見る者を愛の謎に引きずり込む松田&前田の演技にも拍手。違う視点で、2回見てみたくなる一本。

Side-A:1980年代後半、バブル最盛期の静岡。就職活動中の大学生・鈴木は、友人に誘われた合コンで、歯科助手のマユと運命的な出会いを果たす。
Side-B:就職した鈴木は東京本社に転勤となり静岡にマユを置いて上京。マユに会うため東京と静岡を行き来していたが東京本社の同僚・美弥子の存在に心揺れ始め…。

監督:堤幸彦 出演:松田翔太、前田敦子、木村文乃他/東宝配給/全国東宝系にて公開中 http://www.ilovetakkun.com/