樹木希林、カンヌでスタオベに大照れ

 映画『あん』のプレミアム試写会が26日、都内にて行われ、樹木希林、永瀬正敏、河瀬直美監督、原作のドリアン助川が出席した。

 本作は、元ハンセン病患者だった老女と人々との心の交流を描いたドリアン助川の同名小説を、河瀬監督が日仏独合作で映画化した作品。先日行われた第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニングフィルムとして正式出品され、絶賛された。

 この日の試写会には、特別来賓として高円宮妃殿下がご出席されたほか安倍昭恵首相夫人、JOC会長の竹田恒和氏らも出席。主人公の老女を演じた樹木は冒頭「平成になってハンセン病が世に受け入れられるようになりましたが、それよりもずっと前、昭和23年に高松宮宣仁親王が、マスクも防御服も着用せずにハンセン病の方と握手なさったことがありました。国よりも先にそういったことに対し道を開かれたことに感謝して、今日はこの場に立っております」と述べた。

 真剣な表情の樹木だったが、カンヌでの上映の感想を質問されると「上映が終わった後、明るくなる前に退場したかったんですが、素敵な洋服を着た河瀬さんがまるでバレリーナのように会場の拍手に応えていて、私の顔を見て、こちらに来るんじゃないかと思っていたら案の定、手を差し伸べてくるんです。勘弁してと思いました。気恥ずかしくて」と、思い出したように照れ笑い。河瀬監督が「樹木さんが応えてくれたら、スタンディングオベーションは30分になっていたかも」と茶目っ気たっぷりに返し、会場も和やかな笑いに包まれた。永瀬も「海外の知人からたくさん連絡が来て、あらためてこの部門のオープニングを飾ることはすごいことなんだと思いました」、ドリアン助川も「形式ではない、心からの拍手を感じた」とカンヌでの手ごたえを振り返った。

 映画『あん』は、5月30日より全国公開。