清野菜名 押井守監督最新作映画『東京無国籍少女』で初主演
モデル出身の清楚なルックスと本格的なアクションシーンをこなせることを武器に、多くの映画やテレビドラマに出演している清野菜名。昨年は園子温監督の『TOKYO TRIBE』のヒロインに抜擢されるなど、人気上昇中の注目株だ。そして今回、初主演映画『東京無国籍少女』が公開。役柄によってまったく別の顔を見せる高い演技力と、見る者を圧倒するアクションシーンが期待される。
スタイリスト:末吉久美子Sueyoshi Kumiko ヘアメイク:細野裕之(プュアナプー)hosono hiroyuki 衣裳:ブラウス・パンツ RANDA (03-3406-3191)、ピアス・リング somnium (03-3614-1102)、サンダル enchanted (03-6231-7361) 撮影・神谷渚
アクション女優として高く評価される一方で、癒し系のほわっとした雰囲気で、男女を問わず人気の清野。高校時代にはアクションに目覚めていたとか。
「学校の部活がアクション部でした。でも活動は週に1回でしたし、時間がなくてあまり参加できませんでした。それより、アクション監督の坂口拓さんの養成所に1年間通って、本格的なアクションをみっちり習ったのが、今につながっていると思います。『東京無国籍少女』では、アクションの稽古が3日しかなくて、そのうち1日目は私がどれだけできるのかというテストだったので、実質2日間の稽古で、アクションシーンの撮影が2日でした。自分的には1カ月ぐらい撮影している気持ちでしたが、実際は2週間ちょっと。撮っている時は毎日長いなと思っていましたけど、終わってみると意外に短かったんだなと思いました(笑)」
今回清野が挑んだのは、女子美術高等専門学校を舞台に、事故で心身ともに傷を負った若き天才女子高生。感情を抑えた難しい役どころだ。
「精神的に重い部分はありました。一応舞台は学校で、学園ドラマのような感じなので、ほかの女子高校生役の方たちは、割と普段の自分たちのような感じで撮影されていたんじゃないでしょうか。撮影以外でもみんな和気あいあい仲良くやっていましたし。でも私の役はそういう役とちょっと違って、同じ高校生ではあるんですけど、みんなと一線を引いているキャラクターだったので、1歩離れたところで、いつも1人で見ていました。それは撮影中も、撮影の合間もですね。空気感的にも藍(清野の役名)はそうじゃないと。そこで仲良くなってしまったら、現場で撮影していて、その空気感が出てしまうと思ったので、あえてそういうふうにしていました」
前作『TOKYO TRIBE』の園子温監督に引き続き、今回も世界的評価も高い押井守監督が清野を大抜擢したことでも話題に。
「押井監督はすごく優しかったです。聞こえないぐらい声は小さいし(笑)。そういうほわほわしているイメージだったので、現場では豹変するのかなと思っていたのですが、そのままの優しさで。もちろん声の大きさもそのままだったので、しょっちゅう“もう一度お願いします!”みたいな(笑)。でも撮影現場以外の場所では明るくて楽しい監督でした。ですから園監督もそうですが、個性が強いといわれている監督さんですけれども、特別に身がまえるような事はありませんでした」
もちろん見どころのひとつはアクションシーンだが、今回はそれまでのアクションとは違ったという。
「アクション自体は、今までやっていたものとは全然違いました。これまでは『TOKYO TREBE』でもそうだったんですが、パンチとか蹴りが多くて見やすかったと思います。でも今回は銃を使ったり、ナイフを使ったり、アクションの種類が本当に人を殺すための戦闘法を取り入れていたので、初めてという感覚でやっていました。監督からも殺す勢いというか、そういう殺気を持ってやってほしいと言われていたので、その気持ちだけを持ってアクションをしていました。具体的にいうと、今までは顔にパンチ、足にキックなど、大まかな感じでしたが、今回は頚動脈を一突きとか細かい位置を確実に狙わなきゃいけない。寝技も、転がして締めながら足の筋を切るみたいな。あと銃も本当に重い銃でやったので、自分になじむように、家に持って帰って練習しました。弾を見ないで替えるマガジンチェンジも全然できなかったので、テレビを見ながら家でひたすらやるなど、武器に慣れるためのことは結構やりました」
清野が役柄である藍を理解した瞬間。
「押井監督に“藍は芯はあるけど寂しげに”と言われて、それを常にベースに持って演じていました。台本上にあまり気持ちなどが詳しく書かれていなかったので、藍の気持ちが分からない部分がたくさんあって、ワンシーンごとに毎回監督に聞いていたんですね。“実際藍はどんな気持ちなんですか? 強いんですよね。じゃ、ここはにらんでいる感じでいいんですか”みたいに。その時に監督が“強いんだけど、目もそういう気持ちでにらんでもらいたいんだけど、どこか寂しいっていう思いは持っていてほしい”って言われて。その言葉を聞いた時に、それが自分の中で1本軸になって、その言葉を心に持ちながら演技をしたら、藍を理解できるようになったんです。だから最初は分かりづらかったけど、今は意外とやりやすかったなと思っています」
『ソウ』『シックス・センス』『ブラック・スワン』など、衝撃のラストを描く名作の系譜に続くといわれている “衝撃のラスト15分”も見所のひとつ。
「前半のシーンは塞いで、カラに閉じこもっているので、目や呼吸だけのお芝居で表現する部分も多かったんですけど、それがラストでどうなるか。そのへんの藍の心境の変化を感じていただけたらうれしいです。衝撃のラスト15分というだけあって、そのシーンのアクションには自分なりに思いをかけて取り組みましたし、日本ではまず見かけない壮絶なシーンになったと思います」
アクション女優を極めたいという清野の将来の夢。
「今はいろいろな役に挑戦して、自分の引き出しを増やしたいと思っています。そのひとつとして、語学留学もしたい。英語をペラペラにして、ハリウッドに行きたいんです。それが一番の目標ですね。だから英語をとにかくしゃべれるようにしたいんですけど、多分独学では無理だと思うので、英語しか通じない世界に自分の身を置いて、自分自身で追い込む。追い込まれると力を発揮するタイプなので(笑)。私の原点というか、アクションを始めたきっかけはミラ・ジョヴォヴィッチなんです。彼女の『バイオハザード』を見て、アクションを習いに行きましたし、いつか共演できれば最高ですね。そうなれるように、壮絶なアクションをハリウッド映画できたらいいな」
(本紙・水野陽子)
「学校の部活がアクション部でした。でも活動は週に1回でしたし、時間がなくてあまり参加できませんでした。それより、アクション監督の坂口拓さんの養成所に1年間通って、本格的なアクションをみっちり習ったのが、今につながっていると思います。『東京無国籍少女』では、アクションの稽古が3日しかなくて、そのうち1日目は私がどれだけできるのかというテストだったので、実質2日間の稽古で、アクションシーンの撮影が2日でした。自分的には1カ月ぐらい撮影している気持ちでしたが、実際は2週間ちょっと。撮っている時は毎日長いなと思っていましたけど、終わってみると意外に短かったんだなと思いました(笑)」
今回清野が挑んだのは、女子美術高等専門学校を舞台に、事故で心身ともに傷を負った若き天才女子高生。感情を抑えた難しい役どころだ。
「精神的に重い部分はありました。一応舞台は学校で、学園ドラマのような感じなので、ほかの女子高校生役の方たちは、割と普段の自分たちのような感じで撮影されていたんじゃないでしょうか。撮影以外でもみんな和気あいあい仲良くやっていましたし。でも私の役はそういう役とちょっと違って、同じ高校生ではあるんですけど、みんなと一線を引いているキャラクターだったので、1歩離れたところで、いつも1人で見ていました。それは撮影中も、撮影の合間もですね。空気感的にも藍(清野の役名)はそうじゃないと。そこで仲良くなってしまったら、現場で撮影していて、その空気感が出てしまうと思ったので、あえてそういうふうにしていました」
前作『TOKYO TRIBE』の園子温監督に引き続き、今回も世界的評価も高い押井守監督が清野を大抜擢したことでも話題に。
「押井監督はすごく優しかったです。聞こえないぐらい声は小さいし(笑)。そういうほわほわしているイメージだったので、現場では豹変するのかなと思っていたのですが、そのままの優しさで。もちろん声の大きさもそのままだったので、しょっちゅう“もう一度お願いします!”みたいな(笑)。でも撮影現場以外の場所では明るくて楽しい監督でした。ですから園監督もそうですが、個性が強いといわれている監督さんですけれども、特別に身がまえるような事はありませんでした」
もちろん見どころのひとつはアクションシーンだが、今回はそれまでのアクションとは違ったという。
「アクション自体は、今までやっていたものとは全然違いました。これまでは『TOKYO TREBE』でもそうだったんですが、パンチとか蹴りが多くて見やすかったと思います。でも今回は銃を使ったり、ナイフを使ったり、アクションの種類が本当に人を殺すための戦闘法を取り入れていたので、初めてという感覚でやっていました。監督からも殺す勢いというか、そういう殺気を持ってやってほしいと言われていたので、その気持ちだけを持ってアクションをしていました。具体的にいうと、今までは顔にパンチ、足にキックなど、大まかな感じでしたが、今回は頚動脈を一突きとか細かい位置を確実に狙わなきゃいけない。寝技も、転がして締めながら足の筋を切るみたいな。あと銃も本当に重い銃でやったので、自分になじむように、家に持って帰って練習しました。弾を見ないで替えるマガジンチェンジも全然できなかったので、テレビを見ながら家でひたすらやるなど、武器に慣れるためのことは結構やりました」
清野が役柄である藍を理解した瞬間。
「押井監督に“藍は芯はあるけど寂しげに”と言われて、それを常にベースに持って演じていました。台本上にあまり気持ちなどが詳しく書かれていなかったので、藍の気持ちが分からない部分がたくさんあって、ワンシーンごとに毎回監督に聞いていたんですね。“実際藍はどんな気持ちなんですか? 強いんですよね。じゃ、ここはにらんでいる感じでいいんですか”みたいに。その時に監督が“強いんだけど、目もそういう気持ちでにらんでもらいたいんだけど、どこか寂しいっていう思いは持っていてほしい”って言われて。その言葉を聞いた時に、それが自分の中で1本軸になって、その言葉を心に持ちながら演技をしたら、藍を理解できるようになったんです。だから最初は分かりづらかったけど、今は意外とやりやすかったなと思っています」
『ソウ』『シックス・センス』『ブラック・スワン』など、衝撃のラストを描く名作の系譜に続くといわれている “衝撃のラスト15分”も見所のひとつ。
「前半のシーンは塞いで、カラに閉じこもっているので、目や呼吸だけのお芝居で表現する部分も多かったんですけど、それがラストでどうなるか。そのへんの藍の心境の変化を感じていただけたらうれしいです。衝撃のラスト15分というだけあって、そのシーンのアクションには自分なりに思いをかけて取り組みましたし、日本ではまず見かけない壮絶なシーンになったと思います」
アクション女優を極めたいという清野の将来の夢。
「今はいろいろな役に挑戦して、自分の引き出しを増やしたいと思っています。そのひとつとして、語学留学もしたい。英語をペラペラにして、ハリウッドに行きたいんです。それが一番の目標ですね。だから英語をとにかくしゃべれるようにしたいんですけど、多分独学では無理だと思うので、英語しか通じない世界に自分の身を置いて、自分自身で追い込む。追い込まれると力を発揮するタイプなので(笑)。私の原点というか、アクションを始めたきっかけはミラ・ジョヴォヴィッチなんです。彼女の『バイオハザード』を見て、アクションを習いに行きましたし、いつか共演できれば最高ですね。そうなれるように、壮絶なアクションをハリウッド映画できたらいいな」
(本紙・水野陽子)
NULL
『東京無国籍少女』
7月25日(土)新宿バルト9、シネクイント渋谷ほか全国ロードショー
7月25日(土)新宿バルト9、シネクイント渋谷ほか全国ロードショー