五輪エンブレム酷似問題で制作者が疑惑を否定

 2020年東京五輪の公式エンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴなどと似ていると指摘された問題で、デザインしたアートディレクター、佐野研二郎さん(43)が5日、東京都港区の大会組織委員会で記者会見し、「盗用ではないかと指摘され、大変驚いている。全くの事実無根だ」と疑惑を否定した。

 佐野さんは「ベルギーに行ったこともないし、ロゴを見たこともない」としたうえで、デザインの着想を得た経緯や、制作過程を説明した。

 佐野さんは東京の「T」を模した五輪エンブレムの図案を作るにあたり、「ディド」と「ボドニ」と呼ばれるフォント(書体)を参考にしたと説明。「力強さと繊細さが両立している書体で、このニュアンスを生かせないかと発想が始まった」とし、これに1964年東京大会のエンブレムをイメージさせる大きな円を組み合わせたのが、今回のデザインだとした。

 ベルギーの劇場のロゴについては「TとLの組み合わせだと思う」とした上で、「こちらはTと円で、デザインに対する考え方が違う」と強調。「アルファベットを主軸にすると、どうしても類似するものは出てくるが、テーマが違う」と力説した。