脱こじらせへの道 第5回 「anan」のセックス特集の今後を勝手に考えてみる

あなたは買った?ananSEX特集(8月7日発売!)

 こんにちは、田口です。
 今回は趣向を変えて、今月発売された「anan」のセックス特集についてちょっと考えてみたいと思います。

 GIRL’S CHでは「あなたは買った?ananSEX特集(8月7日発売!)」というアンケートをとったのですが、結果は8割以上の人が「買った」「買う予定」でした。その理由は大きく3つに分類されますが、「毎年買っています」という人も多く、近年ではSILK LABOのエロメンや、GIRL’S CHのイケメンたちがセックス特集のDVDやとかグラビアに出演しているため、「出演者のファンです」という理由もありました。あとは「ハウツーを勉強しています」など。

 このananのセックス特集も定番化してもう10年前後が経っていると記憶しています。私が就職活動をしているときに、SODの面接で、「ananのセックス特集で、今度女性向けに作ったDVDの特典がつくよ」と言われたのをよく覚えています。
(ちなみにその年は、5月に発売でした。)

 この10年で女性とセックスの話題との関係性はずいぶん変わってきました。乱暴な言い方をすると、セックスの話について、もうカマトトぶる必要がなくなったように思います。

 これまでは、こういう話題の本を買うのに、「セックスに関する本じゃなくて、ananを買っているんだ」という建前が必要だったと思われてきました。この連載でいつも言っているようなことから考えると、そういう買い方は「こじれ」だったかもしれません。でも最近、とくにこの1〜2年は、そういう建前がなくてもセックスの話が普通にできるようになってきた。恥ずかしがりながらセックス特集のananを買う女性は、もうほとんどいないんじゃないかと思います。

 女性の意識がかわるきっかけとして、この2〜3年のメディアからのアプローチに変化があったのではないでしょうか。具体的にいうと、女性の性を肯定する風潮が強くなっています。GIRL’S CHもそうなんですけど、“一人エッチしてもいいんだよ” “女性に性欲があってもいいんだよ”ということをいろいろなメディアが言うようになったので、隠れてこそこそ買う必要がなくなって、こじれなくなった。

 それもこれもananさんがこの企画を続けてきてくれたおかげで、女性がおおっぴろげにセックスの話題をすることができるようになってきたということが大きいと思います。

 ということで今回は、私が勝手にGIRL’S CHの視聴者を代表して、ananさんに今後やってほしい企画を考えてみたいと思います。

 今回は、GIRL’S CHのプロデューサーという立場半分、いち読者としての私の立場半分、という感じで。

 先ほども言ったように、読者の質はこの1〜2年で大きく変わってきています。
例えばこれまでは、著名人や医師が出ていることで得られる安心感というものはひとつのポイントでした。ですが、そんな建前もいまは必要ないのかもしれません。

 本当に知りたいのは、「実際みんな(私達)がどんなことをしているのか」ということなのではないでしょうか。GIRL’S CHでも、リアル感のあるAVや、実は盗撮ものが好まれる傾向があり、女性は(男性も?)隣人のセックスが気になるものなのでは。ほかの人は、どんなセックスをしているのか、そんなリアルを読者は知りたいのではないでしょうか。

 アンケートでも「ハウツーは飽和状態で真新しいことがなかった」とか「実体験ページがいまいち」という意見がありました。そのことからも、ユーザーはリアルな話を求めていることが伺えます。

 セックス特集の当初は、建前やファンタジーが必要だったんですが、10年経つうちにセックスに対する意識が全然変わってきて、リアルなものが望まれるようになっている。
 これはananだけじゃなくて、他の媒体にもいえることかもしれません。

 ちょっと矛盾するんですが、反対に、専門家による「Q&A」。“こんなときどうする?”的なお悩み相談室は絶対必要!だと思います。
 それもセックスそれ自体ではなく周辺のこと。避妊や性感染症に関する記事はいまでもありますが、「妊娠」「出産」そして「中絶」といったことまで、是非書いてほしい。
AVのようなファンタジーと対極にあると思われがちですが、でも本当はすべて地続きなんです。GIRL’S CHのようなAVサイトより、もっと説得力をもって伝えることができると思うので…。

 そういう話題を扱ってくれると中高生にも読ませたい雑誌になりますよね。
 GIRL’S CHのようなメディアでは残念ながら18歳未満の人に働きかけることはできません。

 だから、誰でも買えるananで、潜在的な、将来の私たちの視聴者が育つと、お互いにより発展していけるのではないかと。

 手前味噌ですが、おかずとしては動画のほうが情報量が多くて強いと思うのですが、ananさんの強みは読み物でいろいろな知識を得られるというところ。

 実は私もモノクロページの読み物が好きで、昨年の「都道府県別の男の子のセックス傾向」は楽しく読ませていただきました。今年のみうらじゅんさん、しみけんさん、松居大悟さんのページも面白かったです。

渡部拓哉くん。GIRL'S CHの街角セクシーイケメンカタログで人気No.1の男の子。昨年今年と付録DVDの作品に出演しています

 ちなみにGIRL’S CHは一昨年から取り上げていただいているんですが、
 1年目がオアシズの大久保佳代子さんとたんぽぽの川村エミコさん。大久保さんがセックスのベテランで川村さんがまだサイトを知らない視聴者代表みたいな感じで紹介していただきました。

 去年の2回目はユーザーさんも増えてきたので、もっとポップな感じを出したくて男性のお笑いグループのパンサーさんに出ていただきました。“女の子がAVを見ることを、男の子もオススメしてるよ”という切り口。

 そして今年は、ずっとサイトを使ってくれているコアなユーザーが増えてきているので、一歩引いた視点がほしいということで、あまりこういう話題が得意じゃなさそうなおかずクラブさんに視聴していただいて感想をいただきました。

 来年も取り上げていただけるのなら、ぜひユーザーさんの座談会とかアンケート企画など、リアルな声を届けられるものをやってみたいですね。

田口桃子(たぐち・ももこ)
GIRL'S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。
以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。

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