[CD]“カッコいい”に震えろ 厳選CD5選

GOLD TRASH / The Birthday

 音楽シーンにカッコいい男は数えきれないほどいるけれど、そのなかでひとつアイコンを挙げよというならば、間違いなくこのThe Birthdayだ。歌うというよりも吠えるといった表現がしっくりくるアグレッシブなライブパフォーマンス、骨太なロックサウンド、色気を感じる佇まい……。存在そのものがロックでクールで、カッコいい。スタート当時からカッコいいバンドであり、多くの支持も集め続けている彼らも今年で結成10周年。ボーカルでギターのチバユウスケのヒストリーから見ると、まだ10年だったかというイメージも拭えないところもあるが、孤高のバンドはこの10年ずっとロックしてきたのだ。本作はこのアニバーサリーを記念してリリースされる、キャリア初となるベストアルバム。たっぷり28曲を収録した本作には、言うまでもないが、かっこよさがほとばしる。ざらついた感覚、エモーショナルに歌いあげる曲など、バンドの魅力を堪能できる。初回盤・限定盤はライブ映像を収録したDVDつき。

[J-POP ALBUM]
ユニバーサルシグマ 9月16日(水)発売 初回限定盤[CD+DVD]3800円 通常盤3000円(共に税別)

ETERNAL ADOLESCENCE / SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER

 昨年12年ぶりに始動した、日暮愛葉率いる唯一無二のオルタナティブロックバンドが新体制の下で初めてとなるオリジナルアルバムをリリース。『ETERNAL ADOLESCENCE』=永遠の思春期と題されたアルバムは、シーガルならではの不思議でファンタジックな風合いとリアルな感情が同居する作品。すっと心に入り込んでくる日暮の歌唱、あらゆる人の人生に寄りそい包み込むようなサウンド、エネルギッシュなロックナンバーも含めて、シーガルらしい作品になっている。

[J-POP ALBUM]UK.PROJECT 発売中 2800円(税別)

LA DI DA DI / BATTLES

 世界各地で熱狂的な支持者を集めるニューヨークベースのエクスペリメンタルロックバンドの最新作。制作途中にメンバーが脱退する経験をした前作と違って、現体制で作ることを前提に取り組まれた本作は、より無理なく自由でリラックスして制作されたよう。そうした環境は作品にも反映されていて、全体的にミニマルであるものの、それぞれの音やサウンドが自由に飛び交っているような印象。リリースに先立って公開された収録曲『FF Bada』からその風合いが感じ取られるはずだ。この曲を含めて全13曲を収録している。バンドは本作を携え、11月に来日が決定。

[ROCK ALBUM]WARP/Beat Records 9月15日(火)発売 2200円(税別)

#N/A / にせんねんもんだい

 その華奢な体躯からは想像し難いサウンドを繰り出して世界を圧倒させる、にせんねんもんだいの最新作。ニューアルバムとなる本作はポストパンク、クラウトパンク…といったカテゴライズを容易に吹き飛ばして、もはやミニマルテクノ(でも人力)といった風合い。プロデューサーにエイドリアン・シャーウッドを迎え、マスタリングはラシャド・ベッカーと電子音響の巨匠たちとタッグを組んだことで、これまでのバンドのイメージを完全に塗り替えて、新たな境地に足を踏み入れた印象だ。ダークで鬼気迫る感覚は病み付き。オススメの一枚。

[J-POP ALBUM]Beat Records 9月15日(火)発売 2700円(税込)

The Names / Baio

 米ロックバンド、ヴァンパイア・ウイークエンドのベーシスト、クリス・バイオによるソロプロジェクトが始動。自身の名前で発表する本作の作風は、ポップでキャッチーなヴァンパイア―のバンドサウンドとは異なっている。すべてのプロダクションを自身で手掛けてているうえ、ポップスに自身のボーカルをのせたりボーカリストの一面も見せる。ポップスもシャレや捻りのあるつくり。ニューヨークからロンドンへ拠点を移したことも影響しているのかもしれない。彼を通じて、改めてヴァンパイア―の作品の豊かさの秘密を探ることもできそう。

[ROCK]Glassnote/ Hostess 9月18日(金)発売 2100円(税込)