福島県郡山市の「おいしい」すべての“ウマい!”は猪苗代湖の恵み 郡山に鯉を食べにコイ!
鯉は寿命の長い淡水魚で、長生きするものは300年も生き、体長は1mを超すものもあるという。日本では石器時代から食用にされており、高級魚として将軍家の御前料理は鯉に限られていた。また、薬用魚として古くから重宝され、中国では2000年前の中国最古の薬物書といわれるものにも、緑内障のほか、心臓や腎臓も元気になるという記述があるほど。日本でも病後、産後の回復や虚弱体質の改善に効果があるといわれ、母乳の出がよくなるほか、むくみが解消されたりするなど、腎臓病の食事療法としても知られている。
郡山はそんな鯉の養殖が盛んで、全国でも有数の生産量を誇る産地としても有名だ。市内には現在7軒の養殖場があり、地元の人を始め、観光客や県外の人もその味を楽しんでいる。もともと郡山は水の利便性が悪く、江戸時代に大きな穴を掘って雨水や雪解け水を貯めたり、湧水をせき止めたりしたことが、現在の池の原型となった。それが明治の初期に安積平野を切り開く安積開拓が行われ、猪苗代湖から安積疏水が引かれ、ため池に水を1年中池に貯えられるようになり、鯉の養殖が始まった。
現在市内にある養殖場のひとつ「廣瀬の鯉」の廣瀬養鯉場は大正7年に養鯉を開始。昭和24年には現在の美女池で鯉の養殖を開始した。そこでは5月に親鯉を選別し卵を産ませ、孵化させ鯉を育て、成長したら網で捕獲し、生きたまま飲食店などに輸送している。餌は栄養価の高い配合飼料のほか、昔ながらの大麦とさなぎを2時間かけて煮たものを与えているという。そのように、自然により近い状態で養殖することで、食べてもまったく臭みがなく、薬効があるといわれている本来の力を持つ良質な鯉が育つのだ。廣瀬の鯉では、定番の鯉のあらい、鯉さしみのほか燻製などのオリジナル加工品も販売。インターネットでも注文可能なので、郡山の滋味あふれるおいしい鯉が自宅でも楽しめる。
とはいえ、旅先で地元の名産品を楽しむのも旅の楽しみのひとつ。市内にある「正月荘」は、鯉料理を始め郡山産牛などが味わえる店として、根強い人気の和食料理店。ここでは“鯉の洗い”や“鯉の甘露煮”など、アラカルト料理のほか「恋づくし」(3500円、要予約)というコースメニューが食べられる。前菜、鯉の洗い、鯉の中華風甘酢あんかけ、鯉の甘露煮、鯉の西京焼き、鯉の漬け茶漬けからなる同コースは、さまざまな調理法で味付けされた鯉を思う存分堪能できる。これだけのアレンジしたメニューが楽しめるのは、地元ならでは。ぜひその舌で豊かな猪苗代湖の恵みを味わって。
【住所】郡山市大槻町字水門東1-20【TEL】024-983-3199 【営業時間】11時30分~14時、17〜21時(完全予約制)【定休日】日曜、祝日
廣瀬養鯉場
【住所】郡山市大槻町字美女池上14-6【TEL】024-951-1338【URL】 http://www.hirose-koi.com/