大ヒットシリーズ第三弾は亡きオフクロに捧ぐ……笑って泣ける感動作!

『とことん板谷バカ三代 オフクロが遺した日記篇』著者:ゲッツ板谷

 バアちゃん(著者の祖母)、ケンちゃん(同父)、セージ(同弟)というメガトン級の3バカによる戦慄のバカ合戦が描かれ、大ヒットとなった『板谷バカ三代』シリーズの第3弾。


 これはフィクションか?と思うような、とんでも家族を支え、まとめてきたのが、唯一まともでしっかりもののオフクロ(同母)。しかしそのオフクロが肺癌にかかり、2006年に闘病の末他界。死後、亡くなる直前まで家族に内緒で日記を書いていたことが発覚した。見つかってすぐには“涙がバカみたいに出てきて”とても読めなかった日記を、七回忌を迎えたのを機に読んでみた著書。その日記と著者の感想を紹介するとともに、日記を通して思い出したことや、その後の話をまとめたのが同書だ。


 シリーズの愛読者なら知っていると思うが、このオフクロがいなければ、板谷家はとっくに崩壊していたのではと思わせるほど、まともなオフクロだけあって、さぞやそこには家族への愛情がいっぱいつまっているかと思いきや、嫁の愚痴やバカ家族を罵倒する言葉も。それでも日々生きていることに感謝し、思いやりを忘れないようにという文章に、真面目で誠実な性格が表れている。それにしても癌になってまで、家族の心配をし、病気と闘う様子は、気の毒でありながらも、あまりの突き抜けたエピソードに笑ってしまう。オフクロもぶつぶつ言いながら、そんな家族とのやり取りが楽しかったのではと思う。笑いと涙がちりばめられたこのエッセイには飾らない家族の日常と言葉が散りばめられている。



【定価】本体1500円(税別)【発行】KADOKAWA