中村里砂 映画『少女椿』で映画初出演で主演を務める
カルト的な人気を誇る漫画家・丸尾末広の『少女椿』が映画化された。主演の「みどり」を演じるのは今作品が女優デビューとなるモデルの中村里砂。
『少女椿』は丸尾が1984年に発表した、浪花清雲作の街頭紙芝居『少女椿』をモチーフとした作品。丸尾特有のエログロ、怪奇性がプラスされ発表以来、カルト的な人気を誇るようになった。しかしその過激な描写も相まって、今ではその部分はカットされた改訂版しか世の中には出回っていないといういわくつきの作品だ。
これまで何度も実写映画化が試みられてきたが、実現には至らなかった。しかし今回監督を務めたTORICO監督が7年の歳月をかけ企画を通し、撮影開始から2年をかけて完成にこぎつけた――というのがこの映画のバックボーン。
そして主演を務める中村は今回が初めての“演技”。出演のきっかけは?
「TORICO監督とはもともと知り合いだったんです。それである日、このお話をいただきました」
即決?
「いえ、かなり悩みました。でも監督がすごい熱意を持ってお話ししてくれましたので、信頼して挑戦してみました」
もともと女優には興味があった?
「もともとやりたかったんですが、モデルの仕事をやっていて、映像とは離れた環境にいましたので、このタイミングでとは思っていなかったです」
今まで丸尾末広の作品を読んだことは?「『少女椿』はもともと持っていて、読んでいました」
原作についてはどんな感想を?
「かなり衝撃的なシーンもあるんですけど、みどりちゃんの立場で考えると人間らしいお話なのかなと思います」
原作の持つエログロ、怪奇、こういう世界観に抵抗感は?
「それはないです。私はこういう世界観は好きなほうだと思います」
ちなみに読んでいたのは改訂版と初期のもののどちら?
「改訂版です。もともとの作品はなかなか手に入らないですよね」
改訂版でもなかなかにグロい。
「実写化は不可能といわれていたように、いろいろな規制に引っかかるだろうなって思っていたので、これをどう映画に落とし込むんだろうって私も興味がありました」
一俳優として関わるにあたり、プロットや脚本などを読んだときにどんな感想を?
「監督オリジナルのストーリーもあり、表現を抑えた部分もあって完成形は想像できなかったんですけど、完成した作品を見たら、漫画だけの表現にとどまらないCGやグラフィック、音楽といった映画らしい、映像の良さが落とし込まれた見どころがたくさんある作品だなと思いました」
演技が初めてで主演。現場でとまどうようなことは?
「スチールの撮影とは全然違い新しいことの連続でしたので、戸惑いというか慣れない部分はありました。取りあえず監督を信頼して、現場のスタッフさんと目の前のことを一生懸命やるという日々でした」
監督は現場ではどんな感じ?
「仕事をしているTORICOさんは初めて見ましたけど、男性が多い現場の中で、女性監督として立ち居振る舞いであったり、仕事の仕方などすべてにおいて努力されていたと思います。厳しかったですよ。演技についてはもちろんなんですが、監督が現場の空気を作るので、みんなを引っ張っていくという意味では、いつも元気でした」
映画は美術、音楽、衣装、ヘアメイクのトップアーティストを起用することで、原作の持ち味を殺すことなく、監督の個性をプラスすることに成功しているように見える。
「TORICOさんらしさが出ていました。ファッションぽい要素、美的感覚、オリジナルストーリーも女性らしさというか、視点も独自なものがありました」
ワンダー正光を演じるのは風間俊介。原作とは全然見た目が違うが妙にしっくりくる。
「現実的に考えて一番難しい役どころ。風間さんだからこそ実現できたワンダー正光だったと思います」
風間も含め共演者が豪華。
「風間さんは撮影の前年に父と舞台で共演していてその舞台を拝見していましたし、深水(元基)さんも園子温さんの映画を拝見していました。武瑠くんはもともとPVなんかで共演したことがあって、今回は役者の経験が無い者同士で、よく相談し合っていました」
これからの女優としての活動はどういうふうに考えている?
「初映画がこういう役というのは面白いし、恵まれた環境だなって思います。これからも、こういう特別な役ばかりではなく、普通の女の子の役も含め、幅広い役に挑戦したいなって思います」
ちなみに映画では中村の“目ヂカラ”が印象的。
「(笑)目ですか? 確かに目で表現するシーンは多かったですね。逆にいうと目の印象が強いということは、微妙な動きで表現が変わってしまうので、そういうところは気をつけていました」
原作は海外でも人気があり、今後海外での上映も予想される。TORICO監督と中村が2人で海外に行く姿を早く見てみたい。(THL・本吉英人)
監督:TORICO 出演:中村里砂、風間俊介、森野美咲、武瑠(SuG)、佐伯大地、深水元基、中谷彰宏他/1時間30分/リンツライツ配給/5月21日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー http://www.vap.co.jp/s_tsubaki/http://www.vap.co.jp/s_tsubaki/