6・12「Krush.66」佐々木が-63kg、武井が-53kg王座獲得

佐々木(右)のフックが平本に炸裂(撮影・神谷渚)

 立ち技格闘技『Krush.66』(6月12日、東京・後楽園ホール)で-63kgと-53kgの王座決定トーナメント決定戦決勝が行われた。
 -63kgは初代王者の梶原龍児を師とする平本蓮と、第3代王者の山崎秀晃の後輩である佐々木大蔵がそれぞれの系譜を背負い戦うというドラマもあり、会場を二分する大応援合戦が繰り広げられたが、佐々木が平本を2-0の判定で下し、悲願のベルトを獲得した。
 試合は1Rから激しい打撃戦を展開。的確なローキックとパンチの手数で序盤は平本がペースをつかんだが、佐々木はガードを固めて、平本の打ち終わりにカウンターを合わせる作戦で徐々に盛り返すと、3Rはやや疲れが見えた平本に何度も強烈な右ストレートを見舞い、確実にポイントを稼ぐ。
 ゴング終了と同時にセコンドの山崎と抱き合い勝利を確信した佐々木。判定は一人が29-29だったものの、2人が29-28で佐々木を支持。山崎が佐々木を肩車し歓喜の青コーナーとは対照的に平本は四方に土下座をしながら悔し涙を流した。

【写真上】歓喜の山崎が佐々木を肩車 【写真下】佐々木とは対照的。がっくりの平本(撮影・神谷渚)

 佐々木は「第4代Krush 63kg級王者の佐々木大蔵です。セコンドに前王者の山崎さんがついてくれたおかげでこのベルトを巻くことができて、とてもうれしい気持ちとともに重みを感じています。僕は格闘技とはいじめにあって出会い、ただ強くなりたい一心で始めました。チームドラゴンに入って、前田(憲作)先生に“強くなろう”と言われて、続けられた。先輩がプロになれば、その先輩を追いかけるように、チャンピオンになれば(自分も)そうなりたいというような夢を抱いてここまで来ました。14年間、続けてこられて良かったですし、チームドラゴンじゃなければこのベルトを巻くことはできませんでした。このベルトを目指してずっと練習してきて、この機会を逃したらもう辞めようという覚悟で挑みました。でもベルトを巻いて、龍児さん、秀さんが輝かせたこのベルトをさらに輝かせたいという夢ができました。泣き虫ですけど、これから第4代王者として取り組んでいくので、佐々木大蔵、チームドラゴンをよろしくお願いします」と話した。

 一方、平本は試合後の会見で「実力不足です。最後まで気持ちで戦おうと思っていたんですが、佐々木選手の気持ちが強くて実力で負けました。地に足をつけて、一から全部、技術も精神面も全部鍛え直して、絶対にチャンピオンになれるように頑張りたい」と話した。

 -53kgは武井由樹が上羽優希を1R1分43秒、KOで破り初代王者に輝いた。
 武井は19歳で、ここまで8戦6勝(4KO)2敗という期待の新鋭。対する上羽は今回のトーナメント参加者の中で最年長の31歳。他団体で2つのタイトルを獲得した実力者が、Krushがこの階級を新設したことから参戦。「負けたらきっぱり辞めます」と退路を断って、この日を迎えた。
 試合は武井がスピードで圧倒。上羽のヒザがローブローとなり一時中断したものの、再開後に武井がラッシュ。最後は左ボディーから左ハイ、右ミドル、そしてとどめの右アッパーで上羽を仕留めた。

【写真左】-53kg王座決定戦は武井(右)が1RKO勝ち 【写真右】-67kg 次期挑戦者決定戦は塚越仁志(右)が右フックで平山迅にKO勝ち(撮影・神谷渚)