江戸瓦版的落語案内 居残り佐平次(いのこりさへいじ)

Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE【ネタあらすじ編】

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 ある日、貧乏な仲間を集めて、佐平次という男が、品川遊郭に繰り出そうと提案。おまけに、飲み食い放題で1人1円でいいという。半信半疑ながらも、皆で繰り出し、芸者をあげてどんちゃん騒ぎ。一泊し、さて帰ろうかという時、佐平次は「実は結核を患い医者から転地療養をすすめらているのでしばらくここに残る」と。仲間を帰した佐平次の元に店の若い衆が勘定を取りに来た。佐平次は「実は今夜も遊ぼうと思って、昨日の友達が金を取りに帰ったので夜まで待ってくれ」と舌先三寸で煙に巻く。その後も風呂に入り、酒を飲み、鰻を食べと余裕しゃくしゃく。翌朝、再び店の若い衆が催促すると「どうやら昨夜は用事ができたようだな。多分、今日来るから、そしたらまたパーッと遊んで、明日の朝全部まとめて清算するよ」。

 しかしその日も仲間は現れず、3日目の朝に催促に行くと、佐平次がいきなり居直った。「金はねえ」と。こりゃやられたと思ったが時すでに遅し、佐平次はさっさと布団部屋に籠城し、晴れて(?)居残りの身に。その晩、店が忙しい時に佐平次が現れ、てきぱきと仕事をこなす。それだけではなく、客あしらいもうまく、幇間持ち顔負けのお座敷芸で場を盛り上げるので、客から「居残りを呼んでおくれ」と指名が入るように。これには店の若い衆も面白くない。店の主人に佐平次を追い出すように直談判にいった。主人が、これまでの勘定はいいから出て行ってくれと佐平次に言うと「ありがたいお言葉ですが、実はあっちは、悪事に悪事を重ね、お上に追われている身。表に出たら御用となっちまうので、もう少しかくまって下さい」と告白。

 驚いたのは店の主人。そんな悪党をかくまったなどということがバレたら稼業にかかわる。「そんな事を知ったら、なおさら置けない。さっさとどこか遠くに逃げておくれ」と頼むが金がないので逃げられないという。結局、何だかんだ言い、店の主人から金やら着物やらをかすめ出て行った。店の近くで捕まっては困ると若い衆に尾行をさせると、佐平次は鼻歌交じりで呑気な様子。不思議に思い問いただすと「俺は遊郭の居残りを商売にしている佐平次ってんだ。よく覚えとけよ」と捨て台詞。慌てて店に帰ってそのことを報告すると主人は怒って「ひどい奴だ。私のことをおこわにかけやがった」。すると若い衆「旦那の頭がごま塩ですから」

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