【インタビュー】相楽 樹 ドラマ『嫌われる勇気』で新しい魅力を発揮!

2017年の連続ドラマ第1弾が続々スタートしている。視聴者の好奇心をくすぐるさまざまなドラマが登場しているが、中でもとりわけ気になるのがフジテレビ系の『嫌われる勇気』だ。ベストセラー本をドラマ化した本作で、『とと姉ちゃん』で注目を集めた相楽樹が「嫌われる勇気」を持って果敢に挑戦している。

撮影・上岸卓史

 赤い口紅をきゅっと引き、美脚に目がいかないわけがない長さのスカートで、大胆に足を組み替える。相楽樹を訪ねた撮影所では少しドキッとするシーンの撮影中だった。カツカツとヒールを鳴らして演技する相楽に、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で見せた、古きよき日本の母といった印象はまったくない。

「最初にアドラー心理学に触れたのは舞台でした。朝ドラや、その前にも親子役で共演させていただいた利重剛さんが舞台版の『嫌われる勇気』で主役をされていて拝見したんです。自分に照らし合わせられる部分や考えさせられる部分があって、そこから本に触れたりして “嫌われる勇気”って大切だなって感じました。ここに10人の人がいたとしてその10人全員に好かれるって難しいというか、絶対にないんじゃないかなって思うんです。ドラマのなかでも出てきていますが、“嫌われる勇気”を持っていないと自分がやりたいことをやっていけないんじゃないかなと思うんです」

 ドラマでは、香里奈演じる“嫌われる勇気”が歩いているような主人公で刑事の庵堂蘭子と対立しがちな監察医・相馬めい子を演じている。

「勝気な役どころですね、全体的に。そういう部分を、人によって出したり出さなかったりしているんですけど、香里奈さん演じる蘭子に対してはライバル意識をむき出しにしています。撮影が進むほどに少しずつイライラが積もっていて、3話ぐらい(26日放送分)でピークに達しそうです(笑)」

 めい子を「自分のやってきた仕事にすごくプライドを持っている女性」「すごく気が強いけど、実際は繊細」と分析する。

「監督と話し合ったりシーンを重ねながら、めい子という人物像を固めてきました。自分と似ているかっていったら、あんまり似ていないです。でも、彼女の考えていることは理解できる。自分とは別モノの感覚で演じています。ただ、ちょっと心配になるところもありますね。彼女には弱音を吐ける人はいるのかなとか、モテるけど本当に好きな人には意外と振り向いてもらえてないんじゃないかなって」

 28歳、監察医という役どころ。撮影前にはリサーチもした。

「監察医について少し調べたんです。肌の色や食べた物で亡くなった時間が分かるだとか、解剖だけじゃなくてDNA鑑定とかも多いのだなとか。説明セリフも多いですから毎回新しい台本が来るたびに調べてます。虚血性ってなんだ!とか(笑)。28歳という年齢については、最初はどうしようかなって思ったんですけど、メイクや衣装に任せて他のことに集中しています。私、結構年上に見られることが多いんです。朝ドラの現場でも、老けてるだとか年齢詐称だと言われてきましたし(笑)。それに、年上の方とお話ししていても年齢差をほとんど感じないんです」

 これまで経験したことがない表現にも挑戦している。

「男性を転がすようなシーンです(笑)。香里奈さんと加藤(シゲアキ)さんと一緒のシーンが多いんですが、回数を重ねていくたびにエスカレートしていくんですよ。1話では加藤さんへの壁ドンがありましたけど、壁ドンして足を絡ませるだとか、顔をエロティックに撫でるとか……もう、どうなっちゃうんだろうって(笑)。今までの自分にはない表現なので、現場で指示を受けながら、指をしならせたりして頑張っています(笑)。ちょっと、加藤さんのファンがざわつくんじゃないかなってドキドキしますけど、……そこは“嫌われる勇気”で(笑)」

 オトナの女性の魅力があふれる衣装やメイクにも納得。

「衣装やメイクに助けられている部分は大きいです。もともとメイクで顔の感じがすごく変わるので、メイクをして赤い口紅を塗れば、めい子だ!って。スカート丈も今日は一段と…ですし、撮影で履いていた靴もすごく高いヒールでしたし、攻め攻めな感じです(笑)。もし朝ドラのイメージのまま見ていただける方がいらしたら、きっと、何があったんだろうと思われているんじゃないかなと思います。これからも楽しみにしていただけたらうれしいですね」

 アドラー心理学に出会い、興味を持ち、今度はドラマのなかでそれを演じる。アドラー心理学への興味も強まっている。

「どんどん面白くなってきています。本も青年と哲人(アドラー心理学の研究者)の会話がひたすら続いていることもあって、どんどん読めてしまうし。読むとなんだかスカッとします。それに青年の言うことも分かるなって共感したりも。自分が悩んでたどり着いた結果とアドラー心理学が言っていることが一緒だったりして、自分が悩んだり考えたことは間違ってなかったな、とか思います(笑)。頑張ろうってなりますし、アドラー心理学を利用すれば、なんかもっと変われるんじゃないかなって思います。ドラマも、見る人それぞれが自分に照らし合わせることができて、違う感覚が得られるんじゃないかな。そんなドラマになってるんじゃないかなって思います」

 いろいろな初めてが詰まった本作で新しい年のスタートを切る。

「こうなりたいって大きな目標を掲げて突き進むタイプではないんですよ。だから、少し手を伸ばせばどうにかならないこともないかもしれないっていうようなことを少しずつ達成していきたいと思っています。ひとつ達成できたら新しいのが出てくる、それが続いている感じなんです」

 挑戦してみたい役は?と食い下がると「予想できない動きをする役」。

「(これまで)意外とちゃんとした子が多いので、何か予想できない動きをする役に出会えたらと思います。あとは刑事かな? 『あぶない刑事』がすごく好きなので、銃を持って走ってバンバンやりたい! あ、今回は“ドンドン”ですけどね」

 ドラマ『嫌われる勇気』は、フジテレビ系にて毎週木曜午後22時から放送中。

(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)

『嫌われる勇気』

 大ベストセラー『嫌われる勇気』を原案に大胆にアレンジした刑事ドラマ。アドラー心理学を体現する一匹狼の女刑事・安藤蘭子(香里奈)が同じ捜査一課の若手刑事の青山年雄(加藤シゲアキ)と不思議なコンビを組みながら、さまざまな事件に挑む。そこに、犯罪心理学専門の大文字哲人教授(椎名桔平)、監察医の相馬めい子(相楽樹)らが加わって……。他共演に、戸次重幸、丸山智己、桜田通ら。