日本映画の特撮、アニメは“ジャンル”を越える! 〈第40回日本アカデミー賞 授賞式〉リポート
その年に公開された優れた日本映画を表彰する日本アカデミー賞の、記念すべき40回目の授賞式が3日、都内にて開催。今年、対象となるのは2015年12月16日〜2016年12月15日の間に東京地区で劇場公開された新作映画。異例の大ヒットを遂げた作品がいくつも誕生するなか、どの作品がどの賞に輝くのかという点にも大きな注目が集まった。授賞式の見どころと賞の結果をリポート!
今年は重厚ドラマと“ジャンル系”が激突!
2016年度の日本映画界で目を引いた作品といえば、やはり『シン・ゴジラ』、『君の名は。』、『この世界の片隅に』。特撮怪獣もの、アニメーションという、いわゆる“ジャンル系”の作品。今年はその“ジャンル”を超越したこの3作が大きな嵐を巻き起こした。特撮怪獣映画としては初めて『シン・ゴジラ』が最優秀作品賞を受賞。国内のみならず海外でもヒットした『君の名は。』が最優秀脚本賞を獲得した一方、最優秀アニメーション作品賞には低予算で製作された『この世界の片隅に』が獲得。『シン・ゴジラ』が次々と賞を制していくなか、俳優賞ではドラマ系作品からの受賞ラッシュ。最優秀助演男優賞には『怒り』の妻夫木聡。最優秀助演女優賞には『湯を沸かすほどの熱い愛』の杉咲花。「この日が来るのが本当に怖くて2週間ぐらいよく寝られなくて、やっと寝られたと思ったら悪夢を見たりして…でも“おかあちゃん(宮沢りえ)”から“どんな結果であっても得たものは変わらないから”とメールをもらって」と感涙。母役の宮沢の存在が大きかったことを明かした。その宮沢は最優秀主演女優賞を獲得。親子での主演・助演W受賞となった。残念ながら仕事の都合上、発表前に会場を後にしていた宮沢だったが「役を演じるというより、役が自分の体を通過して爪痕をつけていくという感じだった」と渾身の芝居だったことをビデオコメントで明かした。
最優秀主演男優賞に輝いたのは、22年ぶり、2度目の受賞となる佐藤浩市。佐藤は「久しぶりに大きいほう(主演男優賞のブロンズ)を頂いたけど、こんなに重かったかな。50歳を過ぎて筋力が衰えたのか、別の感慨なのか(笑)」とユーモアを交えながらも「またここに戻ってこられるよう続けていきたい」と結んだ。
他にもこの日は『聖の青春』で壮絶な役に向き合った松山ケンイチと司会の安藤が突然、芝居談義に花を咲かせたり、『怒り』でゲイの恋人役を演じ、その役作りの裏側を“熱々”な様子で語っていた妻夫木聡と綾野剛が妻夫木の受賞後、固くハグしあったりと、会場を沸かせる場面もたっぷり。スクリーンでは見られない表情で映画ファンを楽しませた。
ちなみにこの日、佐藤の息子・寛一郎の俳優デビューが報じられており、授賞式後の囲みで記者から息子が新人賞をとったらプレゼンターを務めるかとの質問が飛ぶと「そんな恥ずかしい展開は勘弁してほしいですね。僕と父・三国(連太郎)の間でやってるので(笑)」と照れ笑い。
セクシー度NO.1は誰? 女優陣衣装チェック
今年も会場を女優たちの華やかな衣装が会場を彩った。黒ベースながらもセクシーさをかもしたのは、最優秀主演女優賞に輝いた宮沢りえ。胸元がベルトのデザインになったベアトップドレスでシックかつゴージャスに。シンプルなミニドレスと思いきや背中が大きく開いたデザインで目を引いたのは新人俳優賞の橋本環奈。ターコイズブルーのロングドレスがひときわ目立った石原さとみ、上品かつセクシーなデザインの花柄ドレス姿の宮﨑あおい、品よくシースルーを取り入れた最優秀助演女優賞をの杉咲花など、個性的なロングドレス派が目立った年だった。
作品賞:『シン・ゴジラ』
アニメーション作品賞:『この世界の片隅に』
監督賞:庵野秀明/樋口真嗣『シン・ゴジラ』
脚本賞:新海誠『君の名は。』
主演男優賞:佐藤浩市『64?ロクヨン?前編』
主演女優賞:宮沢りえ『湯を沸かすほどの熱い愛』
助演男優賞:妻夫木聡『怒り』
助演女優賞:杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』
音楽賞:RADWIMPS『君の名は。』
撮影賞:山田康介『シン・ゴジラ』
照明賞:川邉隆之『シン・ゴジラ』
美術賞:林田裕至/佐久嶋依里『シン・ゴジラ』
録音賞:中村淳(録音)、山田陽(整音)『シン・ゴジラ』
編集賞:庵野秀明/佐藤敦紀『シン・ゴジラ』
外国作品賞:『ハドソン川の奇跡』
新人俳優賞:杉咲花、高畑充希、橋本環奈、岩田剛典、坂口健太郎、佐久本宝、千葉雄大、真剣佑
話題賞:作品部門『君の名は。』/俳優部門 岩田剛典『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』