「見せたい」男たちが「見えない」ように踊るダンスがとにかく凄い! 劇団Rexy『風呂ダンサーズ』
「エロメン」を中心とした異色の劇団
劇団Rexyの第5回公演「風呂ダンサーズ」が12月14~17日に上演された。
RexyはSILK LABO、GIRL’S CHといった女性向けのアダルトコンテンツで活躍する「エロメン」を中心として2015年に旗揚げされた異色の劇団。
旗揚げ公演では一徹、月野帯人といった人気エロメンが初舞台を踏むといった話題もあり、連日満員の大盛況だった。
ある意味、出演者、関係者すべてが手探りの中での旗揚げだったが、第2回公演以降はエロメン以外の舞台俳優も出演者に名を連ねるようになり、コンスタントに上演を重ね、今回で5回目の公演となった。
今回のお話は銭湯を舞台とした家族の物語。父親が亡くなり、銭湯を閉める決意をした息子たちの前に死んだはずの父が幽霊となって現れる。成仏できずに戻ってきた父の望みは「四十九日までに親戚の男全員で銭湯に活気を取り戻せ」というもの。その願いをかなえるべく息子と甥を含めた14人の男たちが立ち上がるのだが、失踪中の者もいれば引きこもりもいたりとなかなか全員が揃うことは難しい。果たして彼らは父を無事成仏させることができるのか…という家族をテーマとしたコメディーが繰り広げられた。
「裸を見に来た客にドラマを見せて帰す」
ストーリーにはエロメンが多数出演ということもあり、ちょっとした仕掛けがあって、幽霊になった父の姿はこちらが裸にならないと見えない。なおかつ、父と確執があった主人公の長男だけにはなぜか父の姿が見えないという設定になっている。
観客の大半は女性ファンということもあり、全編に渡ってサービスショットの連続なのだが、銭湯という設定上、裸(パン1)も特に不自然な形ではなくコメディー要素の一つとして笑いにスパイスを与えてくれる。
そして「なぜ長男だけには見えないのか」という問題を引きずったまま物語が進行することで、いとこ同士も含めた「家族」というテーマがよりクローズアップされ、ひとつのドラマとして結実することになる。いわば「裸を見に来た客にドラマを見せて帰す」という形。いや、裸(くどいようだがパン1)はもちろん見せているのだが。
紆余曲折を経ながら最後は父のために全員でひとつのパフォーマンスを完成させる15人の男たち。それは風呂オケ、タオル、うちわといった銭湯ならではの道具を使って局部を隠しながら踊るというもの。
最後は15人で圧巻の「風呂ダンス」を披露
こう書くと「アキラ100%じゃん」という人もいるだろうが、それはそれでしょうがない。ただ、あれを15人でさまざまなバリエーションでアクロバチックな動きも交えながら、というのはある意味感動的ですらある。自分の局部が見えるか見えないかを舞台上で他人に委ねる場面もあり、これは相当な信頼関係と練習量がなければできないこと。
今年は高校生の踊るバブリーダンスが話題を集めたが、それに匹敵するくらいのインパクトと笑いにあふれたダンスに仕上がっていた。
本作で座長を務め、長男役を演じた北野翔太は旗揚げからすべての公演に出演。Rexyをきっかけに舞台俳優としての活動も行うようになった。北野は公演前のインタビューで「旗揚げ公演では一徹さんが出るということもあって、チケットがほぼ完売して連日満員になった。今回もそういう状況にしたい」と話していたのだが、ふたを開けてみれば全公演完売で当日券も出せない状況になった。
今後もRexyは公演を続けていくので、ちょっとでも気になった人は次回公演をぜひ。
劇団Rexyの情報はこちらから(http://rexy.tokyo/)。