羽生結弦がパラリンピアンに激励メッセージ

結団式には秋篠宮同妃両殿下が臨席され、挨拶をされた(撮影・上岸卓史)

平昌パラリンピック日本代表選手団の結団式と壮行会開催
 平昌パラリンピック(3月9〜18日、韓国・平昌)に出場する日本代表選手団の結団式と壮行会が都内で開催された。

 結団式には秋篠宮同妃両殿下が臨席された。秋篠宮殿下は「選手の方々には厳しい選考によって、この大会の日本代表になられたことをお喜び申し上げます。みなさんの活躍される姿を多くの人々が楽しみにしていることでしょう。現地・平昌はことのほか寒いとのことです。くれぐれも健康に留意をされ、日ごろの練習の成果を存分に発揮され、素晴らしいパフォーマンスを見せていただきたいと願っております。そして豊かな自然を有する平昌において、現地の風土に親しみ、世界各地から来る人々と交流を深め、スポーツを通じての国際親善に務めていただくことを期待いたしております」などと挨拶をされた。

日本代表選手団代表の大日方団長が挨拶(撮影・上岸卓史)

大日方団長が「クリーンでフェアなアスリートとして正々堂々と競技に臨んでください」
 また日本代表選手団代表の大日方邦子団長が「本大会の目標は前回のソチ大会を超えるメダル数。この目標を達成することは決して容易ではない。しかし選手及び役員が一丸となり全員が持てる力を出し切ればきっと叶う、私はそう信じています。日本代表選手団が今大会で活躍し、2020年大会に出場する選手たちへタスキをつなぐことにより、スポーツ全体への関心をさらに高めるとともに誰もが暮らしやすい社会、活力ある共生社会の実現に寄与することができると考えています」などと挨拶。そして「選手の方々には日本中からたくさんの応援が寄せられています。その応援を受け止め、そして自分自身の力に代えて、クリーンでフェアなアスリートとして正々堂々と競技に臨んでください。その姿がスポーツの価値を守り高めていくことにつながります。パラリンピックの魅力、スポーツの素晴らしさを多くの皆さんにお伝えできるように選手、役員ともに精いっぱい頑張ります」と続けた。

 続いて選手団の須藤悟主将が「2年半後の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、障がい者スポーツへの関心が非常に高まり、冬季競技の私たちにとっても各種メディアの皆様のみならず一般の方々の期待が日ごとに大きくなっていることを肌で感じています。今回の平昌パラリンピックで競技の魅力を少しでも多くの皆様に伝え、一人でも多くの障がいを持っている方がスポーツをやってみたいと思うきっかけとなればと願っています。昨日閉幕したオリンピックで日本は過去最高の13個のメダルを獲得しました。この勢いをぜひとも受け継ぎ、私どもも多くのメダルを獲得できるよう素晴らしい大会にしたいと思う」と力強く決意表明をした。

 日本選手団は選手38人、ガイド1人、監督・コーチ・役員35人、本部役員12人の計86人で大会に挑む。

壮行会では明治學院大学 應援團とチアリーダーによる応援パフォーマンスが披露された(撮影・上岸卓史)

「平昌は本当に特別な場所になりました。そして特別な場所にもしました」
 結団式後の壮行会では安倍晋三首相が「スポーツには大きな力がある。世界のライバルを相手に自分の力を思う存分発揮し、最高のパフォーマンスを見せてください。皆さんの活躍は2020年東京大会の大きな弾みとなります。頑張れ日本! 皆さんを心から応援しています」などとビデオで激励メッセージを送った。

「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」の森喜朗会長は「オリンピックでは赤い(ジャケットの)選手団がにぎわせましたが、来週からは白いジャケットの皆さんが頑張って白い旋風を巻き起こしてください。日本中のみんながテレビを見ながら皆さんの活躍を期待しておられると思います」としたうえで「皆さんのそうした期待、力添えに臆することなく、そしてなんといっても皆さんのご家族や会社の皆さんや、町内会の皆さんまでみんなが頑張っているのにIOCとJOCが“祝勝会をやるな”とか“激励会をやるな”とかおかしなことを言っている。私は大いにやればいいと思います。そういう意味でも皆さんもお帰りになったら地域の皆さんに自慢話ができるように、誇り高い戦いをしてきてください」などと独特の言い回しでエールを送った。

 また25日に終わったばかりの平昌オリンピックで活躍した選手たちからも応援メッセージが映像で届いた。男子フィギュアスケートで五輪2連覇を達成した羽生結弦は「平昌は本当に特別な場所になりました。そして特別な場所にもしました。パラリンピアンの皆さんの活躍を心からお祈りしています」、選手団の主将を務めた小平奈緒は「私にとって学びの多い場所になりました。パラリンピアンの方々の活躍を心からお祈りしております」などとメッセージを送った。

会見に登壇した中森副団長、大日方団長、須藤主将、旗手の村岡選手(左から)(撮影・上岸卓史)

中森副団長「初日のバイアスロンでメダルを取って勢いをつけていただきたい」
 その後に記者会見が行われ、大日方団長、中森邦男副団長、須藤主将、旗手を務める村岡桃佳が登壇した。

 大日方団長は改めて「もうすでにスイッチが入っている選手もいた。選手たちが全力を出し切ることを支えるのが今回の私の仕事だと思っているので精いっぱい応援したい」。

 中森副団長は「選手数が前回の20人から38人に倍増し、非常に心強い。今回は38人のうち17人が初参加、4回以上の参加が11人を超える状況で新人とベテランがミックスしたいい選手団の編成になっていると思う。初日の10日にバイアスロンでメダルを取っていただき、アイスホッケーでは韓国に勝ってもらって勢いをつけていただきたい。そしてチーム一丸となって盛り上がりを作って、前回以上のメダル獲得を目指したい」

 須藤主将は「現地に入ってまた緊張しなければいけないので、わずかな日数だが心を休めて、また新たに取り組みたい」

 村岡は「いよいよ平昌が来るのだなというかやってきてしまうんだなという複雑な気持ちになった。私たちは今までやってきたことを信じて自分の力を最大限発揮するだけだと思うので、自分を信じて頑張りたい」などとそれぞれ話した。

 大日方団長は結団式の挨拶で「クリーンでフェア」というフレーズを入れたことについては「今回“クリーンで”という言葉をあえて入れさせてもらったのは、国際的にも国内的にも、スポーツの価値を揺るがすようないろいろなドーピング問題が残念ながら起きてしまっているということを念頭においたもの。日本選手団はこれまでJPC(日本パラリンピック委員会)がさまざまな“うっかりドーピング”といったものもないようにということでかなり気を使い、選手自身への教育もしっかりやってきたのでクリーンな選手たちの集団であるということは自信を持って言えます」と話した。

 また村岡は壮行会で送られたオリンピアンからのメッセージについて「オリンピックとパラリンピックという違いはありますが、同じ日本選手団としてエールはとても力になるもの。とてもありがたい。それを力に代えて、バトンタッチという形で、そのバトンをつなぐ形で頑張っていけたら」と話した。

結団式、壮行会に出席した選手団(撮影・上岸卓史)