DOBERMAN INFINITYがニューアルバム『OFF ROAD』に込めた熱い想い

 HIPHOPグループのDOBERMAN INFINITY(ドーベルマン・インフィニティ)がニューアルバム『OFF ROAD』を18日にリリースする。「挑戦に前向き」だと言い切るグループは最新作でも数々の新しいトライをしている。「DOBERMAN INFINITYの第2章の始まりとも言っていい」と、プレ5周年イヤーの”DOGG YEAR”を自分たちのスタイルで走る彼らに聞く!

撮影・蔦野裕/スタイリスト・石川TOCCI仁司/ヘアメイク・大木利保

 DOBERMAN INFINITY(以下、ドーベル)の最新作『OFF ROAD』を聴いて感じたのは、たまらないフィット感だった。トラック、リズム、メロディー、言葉、タイトル、そして声。楽曲やアルバムを構成するすべての要素が重なって、この上ないフィット感を作り出す。「格好いい」「ノリがいい」「アガる」なんて言葉だけでは十分ではなくて、なんだか「とても気持ちがいい」。

SWAY「今のドーベルのベストなものを叩き出したなって思いますね。まあ毎回そう思うんですけど。その“ベスト”が上がってきてる」

KAZUKI「そうそう!」

KUBO-C「“アベレージ”がね!」

SWAY「……って、信じたい(笑)。いや、絶対そうなんです」

P-CHO「アルバムの制作を始める以前の、『DO PARTY』とか『Shatter』、『あの日のキミと今の僕に』とか(それぞれシングルの表題曲)を歌っているその時点で、ドーベルが掲げている“オールラウンドヒップホップ”っていうものがどんどん明確になってきている気がしていたし、レベルはどんどん上がってきてるのは、みんな感じてたんじゃない?」

 最新アルバムの『OFF ROAD』は、前作『TERMINAL』から約1年5カ月のインターバルを経てのリリース。タイトルはこのアルバムのテーマであるとともに、いま彼らが抱えている強烈な思いが込められている。

KUBO-C「シングル曲やら5曲は収録することが決まっていて、そのうえでどんな曲を入れたいかっていうところから、このアルバムはスタートしているんです。それで、話をしているなかで出てきたのが、OFF ROAD(オフ・ロード)っていう言葉。それって今の自分たちに当てはまるなっていうのがあって……」

 ドーベルの制作作業は、メンバーでディスカッションをすることからスタートするのが基本。アルバムにしてもシングルにしても、意見をぶつけ合う。

GS「そもそもOFF ROADって何? OFFがあるんならON ROADもあるのかなって。そのなかで、ON ROADっていうのは、決められた道の上を安定感を持って歩いている人のことを言うんじゃないか、なんていう意見も出てきたんですけど、そういった安定感の中にも大変なことってあるよねって。道を歩いていれば障害物はある。それどころか、障害物のない道なんてないじゃないですか。だからきっと、どんな道もOFF ROADだよねって。例えば、人前に出て音楽をやらしてもらってる僕らは、歌手とかアーティストとかを目指している人からしたら、ON ROADにいるように見えていると思うんです。プロという世界にいる以上。でも、僕らにしたら、全然OFF ROADなんです」

KUBO-C「うん…ドーベルを結成した当時は、2018年にはアリーナツアーをしているイメージで、そういう夢があったんですけど、結局それは叶ってない。そういった現実がある。ただそれをそのままネガティブにとらえるだけじゃなくて、俺たちは俺たちらしく自分のスタイルを貫いてやってきているんだし、それはそれでいいことじゃじゃないか、とも思います」

GS「それで最終的に出てきたのは、どんな道であったとしても自分に素直に、自分らしく楽しく歩んでいく、それがこの『OFF ROAD』の解釈なんだろうなって。道なき道を自分たちらしく行く、ってことだねって」

KUBO-C「これからもアリーナツアーっていう夢を目指してやっていくわけだけど、目指すにあたって、それが今までと違った道でも、どんな荒れた道だったとしても、その道を楽しんでいこうぜ、って思うんです」

撮影・蔦野裕

夢への道は、今までと違う道かもしれない。
それが、どんなに荒れた道だったとしても、
その道を自分らしく楽しんでいこうぜ、って思う。

 その思いが込められたのが表題曲「OFF ROAD」。この曲のリーダーシップはP-CHOに託された。

P-CHO「この『OFF ROAD』は、JAY’ED、NAOtheLAIZAと僕のプロデュースチーム、OLDMAN WILDIN’で制作しています。昨年からスタジオに入ってデモ作ってたりして、力を貯めていたのをメンバーは知っていてくれてたので、アルバムの表題曲という自分たちの意思や思いを色濃く表現しないといけない楽曲を、僕たちに託してくれたんだと思っています。僕はディスカッションでの話、“がむしゃらだけど、ポジティブ。荒れた道でも楽しく乗りこなす!”とか、そいういうのをスタジオに持ち帰りました。そのあとも何度もキャッチボールをしていくんですが、自分がプロデュースチームを持ってドーベルと楽曲制作をする意味ってこれなんだなって思うことが何度もあって、個人的な話ですけど、音楽に対して改めて愛を感じた時間でした。このチームで作った曲で最初に世の中に出ていくのが『OFF ROAD』なのがうれしいです」

 作詞やラップを描く作業は、曲が完成してからスタート。SWAYによると、ドーベルでは「出来上ってから始めるって決まっている」んだという。温めておいたフレーズをを当てはめたり、アイデアを切り張りしたりする作業は、ドーベルにおいてはあまりないんだとか。作品を聴いたときに感じたフィット感や気持ち良さはこのプロセスによるところが大きいのかもしれない。

KAZUKI「イメージは決まっていたんですが、『OFF ROAD』の歌詞は、何回も書き直しましたよね。特にサビの部分」

SWAY「聴くと何てことなさそうな感じなんだけれど……振り返ると、苦労した」

KUBO-C「探って探って、たどり着いたからな」

SWAY「ただ、アルバム全体を見回すと、苦労した印象があるのはこの曲だけですよね。この曲ができたことで固まったので」

 この他にも、本作では新たなトライをしている。CREAMのプロデュースの楽曲「MON5TERS」で、これまでメンバーで行ってきた作詞の作業を、Staxx Tに委ねた。

GS「作詞やラップは自分たちで書くのが当然だと思っていて、これまでそういう案が出てこなかったんです。ただ、いろんな方に楽曲を作ってもらったり、いろんな方とコラボするなかで、どんなことをしても、自分たちらしさに変換できるという自信が持てたこともあって、お願いしてみようと思ったのかなあ。CREAMは友人でもあるし、CREAMのエッセンスが入ったパーティーソングを僕らが歌うならどんなものを提案してくれますか、みたいな感じでした。僕らだけだったらこの曲は作れていないと思うので、これはひとつ、ドーベルの今後につながっていく手法なのかなって。ちょっと味をしめた感はありますね」

 ボーカルのKAZUKIも、このアルバムで挑戦できたことがあるという。それがトロピカルな楽曲「Lookin’ for」。ここでは、彼が自分の中でずっと温めていた「夏のハモリ」ができたんだとか。

KAZUKI「ハモリって正解がなくて、聞く人に気持ちがいいとかそうじゃないとかあると思うんですけど、自分の中にいろんなハモリのパターンがあって、そのなかに夏のハモリっていうのがあったんですね。説明するのが難しいんだけど、一番ヤシの木が見えるハモリ……、それが実現したんですよね(笑)」

 見たり聴いたりして気づくものや「聞く」だけでは到底気づかないレベルのものも含めたら、いくつもの挑戦やトライをしている。アルバムの制作は「可能性が出てくる、兆しを感じたミッションだった」と、メンバーは振り返る。

GS「P-CHO、SWAY、KAZUKIもそれぞれの活動を始めたりだとかね、自分たちを取り巻く環境の変化や心境の変化が、アルバムには表現されていて、2018年の僕らの気持ちを投影できたと思っています。僕はDOBERMAN INFINITY第2章が始まったっていう感じもありますね」

 来年は結成5周年。今年はそのプレイヤー。アルバムの内容や本作で彼らが体感したのは、ドーベルの今とこれからなのだろう。
 まもなく、本作を携えて行う全国ツアーもスタートする。

SWAY「去年のツアー、僕ら、すごく楽しかったんです。ホールっていい距離感で音楽をやってる!って感じられるんです。またあれを味わえると思うだけで、もう楽しくなってます。それを1人でも多くの人に味わってほしいです。レベルアップしたツアーにしたいと思います」

 遠くまで続いている『OFF ROAD』。彼らはどんなふうに楽しく歩んでいくのだろうか。(本紙・酒井紫野)

撮影・蔦野裕
<初回盤><通常盤>
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■ニューアルバム『OFF ROAD』4月18日(水)リリース!


 LDH MUSICより発売。「DO PARTY」「#PLAY」「あの日のキミと今の僕に」などドーベルの代表曲のほか、表題曲「OFF ROAD」を筆頭に彼らの意気込みやこれからを感じる新曲全12曲を収録。初回限定生産盤【CD+DVD】4200円、通常盤【CDのみ】2980円(ともに税別)

■パワーアップした全国ツアー! 5月26日にキックオフ!

 全国ツアー「DOBERMAN INFINITY LIVE TOUR 2018 DOGG YEAR~ PARTY ON THE ROAD~」が5月26日に千葉・市川市民文化会館大ホールからスタート。全16カ所16公演で行われるホールツアーで、9月8日の愛媛・松山市民会館まで続く。首都圏での公演は、初日の千葉のほか、東京・人見記念講堂(7月2日)がある。

リリースやツアーなど最新情報は公式サイトで。