キャッシュレス時代は可処分所得を増やすチャンス!?

「景気がいい」と言われても実感ゼロ。さてどうしよう…
安倍晋三首相が就任後打ち出した経済政策「アベノミクス」による好景気は高度経済成長期のいざなぎ景気(57カ月)を超え、戦後2位の長さに達しているらしい。「らしい」というのは庶民はその恩恵をちっとも受けていないから。名目賃金は上昇したものの、物価はそれ以上に上昇しているため実質賃金は下がっているとのこと。現在の日本は景気がいいはずなのにそれを全然実感できないおかしなことになっているようだ…。

中国では屋台でもQRコードで決済(写真:Imaginechina/アフロ)

 数字の上では「景気がいい」といわれても、実際に使えるお金が目減りしているのなら、それは本当の好景気とはいわないだろう。

 そこに文句をつけてもしようがないので、自分で自由に使えるお金を増やしていくしかない。

 ちなみにこの「自分で自由に使えるお金」というのは一般的に「可処分所得」といわれる。給料から税金や社会保険料といったものを差し引いて残ったお金のことだ。

Pepperで決済。こんな日常もすぐそこ?(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 この可処分所得について「クレジットカードでの決済によるポイント付与をうまく使えば年間2万4000円の可処分所得を得ることは可能」というのは『お金のミライは僕たちが決める』の著者・我妻弘崇氏。

 日本では1961年からクレジットカードが使用されるようになった。それは1964年に開催される東京オリンピックを見据えてのこと。徐々に日本人の中にも浸透していったものの、それは大きな買い物をするときに便利、海外旅行に行くときに心強い、といった特別な時に使うもので、日常の生活で頻繁に使うものではなかった。

iPhone7以降Apple Payが常備された(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 それが今ではコンビニでもクレジットカードが使えるようになり、100円単位の買い物でもクレジットカードを使う人は増えてきた。そんな中でもいまだに少額での決済に使うことには抵抗を感じる人は多い。特に年輩の方々には。

 しかし世界ではどんどんキャッシュレス化が進行している。昨今、中国に旅行に行った人からは一様に「屋台でもQRコードを読むだけで決済するようになっていた」という声を聞くようになった。ちょっと前には中国では物乞いもQRコードでお金をもらっているというニュースも流れ、中国のキャッシュレス決済の急速な発展にみんな驚いたはず。

安倍政権は国策としてキャッシュレス化を進めている(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 現在、その中国を始め多くのインバウンドを受け入れている日本では彼らに合わせる形で急速なキャッシュレス化が進むことが予想される。いや、昨年にはコンビニのローソンが全店で中国のスマホ決済サービス「Alipay(支付宝=アリペイ)」が使えるようになるなどすでに進んでいる。

「キャッシュレス化」と大げさにいうとお店での対面販売のことばかり頭に浮かべがちだが、実はアマゾンといったECサイト、パスモといった定期券的なオートチャージなど細かいところで無意識のうちに少額のキャッシュレス決済は行われている。昨年11月には都内で完全キャッシュレス決済の飲食店が誕生。初詣の愛宕神社ではお賽銭もキャッシュレス決済を導入と今までではありえないような場面でキャッシュレス決済ができるようになっている。

シアトルにはレジに人がいない無人コンビニ「Amazon GO」がオープン(写真:ロイター/アフロ)

 それはつまり日本では至るところでポイントがたまる、知らない間にたまってしまう時代になっているということ。あまりにポイントを集めることに奔走するのはちょっとカッコ悪い気もするが、どうせたまってしまうのなら“可処分所得”と考えて、それを賢く使うことに考え方を転換すればいいのではないか。

 今は政府がインバウンドの受け入れに躍起となり、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を視野にキャッシュレス決済の推進を政策として掲げている。火急の問題とあって、それまでは日本で最も普及しているクレジットカードとともにキャッシュレスが進むと思われる。しかし海外ではデビットカードのほうが主流であり、日本では厳しい審査の問題で若年層のクレジットカード保有率が下がりつつあるなどさまざまな要因があることから、それ以降、日本ではどういうキャッシュレス化が進むかはまだ分からない。

 ただ言えるのは、それまではポイント=可処分所得をバンバン増やすことができるということ。そしてその手段はなんらかのカードとほとんどの人が持っているモバイルということになりそうだ。

本紙記者も噂の「完全キャッシュレス」を体験

 本紙記者も昨年11月にオープンした「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」に実際に足を運び、“完全キャッシュレス”の世界を体験してきた。

 同店では席につくとメニュー表はiPad。そこで飲み物と食べ物を選び、注文ボタンにタッチするだけ。やがて店員さんがオーダーを持ってくる。追加メニューも、店員さんを呼び出すのも同じようにiPadに用意されたボタンにタッチ。帰る時もiPadで会計ボタンにタッチすると席で会計をしてくれる。会計は完全キャッシュレスなのでクレジットカードやモバイルでOK。行ってみて初めて気が付いたのだが、レジという場所1カ所で決済するわけではないので、会計が別のお客さんとかぶっても店員さんさえ数が揃っていれば、待つことなくスムーズに進む。おつりの間違いもない。現在はまだまだ実験的な試みとあって、今後例えばランチ時に一斉にお客さんが会計をするといった場面では少々の待ち時間はあるかもしれないが、レジ前に立って並ぶというストレスがたまる状況は回避できることは大きなセールスポイントとなりそうだ。