赤塚不二夫さん没後10年でフェスティバル
「反対の賛成!」遺志継ぎ、みんなでバカ騒ぎ
没後10年となる漫画家の赤塚不二夫さんの遺志を継ぎ、落語や音楽ライブ、盆踊りなどで楽しもうというイベント「フジオロックフェスティバル 2018」が恵比寿ガーデンプレイスで開催中だ。
1日に開幕。夜7時には「ボツ10年ライブ」がザ・ガーデンホールでスタートした。まだ人が集まり切らない中で登場したマキタスポーツは「15の夜音頭」で自前で会場を温め、聞くとおじさんに対して優しくなれる「トリセツおじさん」、そして、いわゆる校歌をモチーフにした「キラキラ学園」を披露。くだらないのに面白いセットで、ライブの幕開けにはぴったりなアクトだった。
「あー良かった。いっぱいいる」とあいさつしたのは、浴衣姿の大所帯を率いる大友良英。「なぜこんな格好をしているかというと、盆踊りで押していこうと思っているからです」という説明から始まったライブは、ドラマ『バカボンのパパよりバカなパパ』のために書き下ろした楽曲を演奏。二階堂和美を招き入れ、『あまちゃん』の劇中で使用された『地元に帰ろう』をアレンジした『地元へ帰ろう音頭』。ラストは新しい音頭『フジオ音頭』で、ステージの上も下も一緒になって「反対の賛成! 賛成の反対!」のフレーズに合わせて体をひねって大笑いしながら踊り、「シェー!」のポーズできめた。ライブ中大友は「電気グルーヴで踊りに来た人すみません」「スチャダラパーで踊りに来た人、あと30分だから」としきりに頭を下げまくり、その言葉がこぼれるたびに、観客の盆踊りの振りが大きくなった。
電気グルーヴが登場するころには会場はぎっしり。比較的年齢層は高めのライブで、仕事にどうにか一区切りをつけて集まってきたというふうだった。観客エリアは会場で買い込んだTシャツを着た人、クールビズの勤め人、柔らか素材のワンピースの女性たちなど多種多様で、ごった煮状態。そんな中、電気グルーヴは可笑しさやくだらなさとストイックさが融合した、良い意味で、いつも通りのライブを展開。「B.B.E.」「The Big Shirts」「モノノケダンス」「MAN HUMAN」とセットが進むほどに「電気グルーヴで踊りに来た人」はもちろんのこと客席エリアぎっしりのオーディエンスはみんな体をゆすって踊った。ラスト、「人間大統領」を演奏するなかで、ステージ奥のスクリーンには赤塚さんの自画像が映しだされると、会場はさらに盛り上がりを見せた。
初日のトリは、スチャダラパー。なぜ自分たちがトリなのかと首を捻りながら、舞台『男子・天才バカボン』で使用された「Bakananova」でライブをスタート。何曲かプレーしたところで「……できるね。うん、(電気グルーヴのピエール)瀧が悪いお客さんじゃないって言ってた」と、BOSE。その後は、コール・アンド・レスポンスを“成功”させたり、手の動きをレクチャーしたり、また自身の若いころの話を披露したりしながら、より一体感のあるライブを作り上げていった。想像していた自分の41歳はこんなはずじゃなかったとぶつける「41 Is The Number」でライブを締めくくってメンバーがステージを去った後は、「元祖天才バカボンの春」が流れるという計らいも。自然と歌を口ずさみ始めるオーディエンスも少なくなかった。
『フジオロックフェスティバル』は、赤塚さんの命日であるきょう2日も同所で。ライブには、矢野顕子、THE BEATNIKS(高橋幸宏+鈴木慶一)らが出演する。バカ盆踊りもセンター広場で行われる。
PHOTO:南賢太郎/三橋由美子/カニタマ