「TIFFCOM」が2019年の構想発表。豊島区との連携強化、イタリアANICAとの協力体制整備

会見に登壇したANICAのロベルト・スタービレ氏、TIFFCOMの椎名保代表、高野之夫豊島区長(左から)

2019年は10月22~24日の3日間、池袋で開催
 エンターテインメントにおいて国内最大級のマルチコンテンツマーケットである「TIFFCOM」が10月24日、東京・池袋で会見を開き、2019年に向けての取り組みを発表した。

 会見ではTIFFCOMの椎名保代表が「年々、成長し続け、今年は出展団体数が382、25の国と地域から参加。バイヤー登録数も右肩上がり。商談決定数も増えている」と現在、池袋のサンシャインシティ コンベンションセンターで開催中の「TIFFCOM 2018」が順調な成長を遂げていることをアピールした。しかしその一方で「参加地域はアジアが50%。大きな課題としてヨーロッパ、北米からの登録者が思ったほど伸びていない」という課題も上げた。

 この日の会見にはイタリアの映画界で映像業界と政界・組織団体との橋渡しを担うANICA(イタリア映画・マルチメディア産業協会)のロベルト・スタービレ氏も登壇していたのだが、椎名氏は「イタリアが東京に強い関心を持っている。来年以降はイタリアを中心にヨーロッパからの参加者が多く見込めるのではないかと期待している」と話した。

 そして来年の開催について「10月22~24日の3日間、池袋で開催する。あと1日増やしてもいいのではないかという気持ちもあるが、2020年に東京でオリンピックがあるということで会場、日程的に難しい状況になっている」と話した。

高野豊島区長

高野豊島区長「将来の目標は“国際アート・カルチャー都市”」
 またヨーロッパ、北米からの参加者の誘致に加え、もうひとつの課題として劇場とのタイアップを上げた椎名氏は来年7月にオープンする「グランドシネマサンシャイン」、同じく10月にオープンする「Hareza池袋」と連携しての展開で規模の拡大を目指すとした。

 2017年からTIFFCOMの舞台となっている豊島区からは高野之夫区長が会見に参加。高野氏は「豊島区は2019年、2020年に大きく変貌する。豊島区はこれまで取り組んできた文化創造都市、安全・安心創造都市を合わせ、将来の目標を“国際アート・カルチャー都市”と定めた。誰もが主役になれる劇場都市を目指し、文化、空間、国際という3つの戦略で国際アート・カルチャー都市を目指している」と現在、開発が進む豊島区の現状について語った。

 文化戦略というのは「池袋ハロウィンフェスティバル」「アニメイトガールズフェスティバル」「大田楽いけぶくろ絵巻」といった多様な文化イベントであり、空間戦略というのはHareza池袋の建設や池袋駅周辺4公園の整備を指す。また豊島区は文化庁が国家的プロジェクトとして取り組む「東アジア文化都市2019」に選出。中国の西安、韓国の仁川広域市とともに2019年2月から約1年間、豊島区・池袋から文化を発信していくという。これが国際戦略となる。

ANICAのロベルト氏

ANICAのロベルト氏は日伊の連携協定の重要さを強調
 ANICAのロベルト氏は「TIFFCOMのようなプロジェクトはイタリアのみならず、ヨーロッパ、世界中を見回してもないと思う。今後、イタリアにおいてもさまざまなプロジェクト、そしてTIFFCOMを推進して、将来的にはイタリアのプロダクション、映画を日本に持ってきて、イタリアと日本の関係がさらに強化され盛り上がるようにしたい。イタリアがTIFFCOMにおいてプレゼンスを高めることは重要なこと。そしてイタリアと日本の産業間の協力を強化することも重要。これからイタリアと日本の間で協力の取り決め、共同制作の取り決めも準備していきたい。将来、より強いパートナーとなりたいと考えている。来年の2月末から3月初旬にかけて、今度は文化庁の副大臣と来日する。これは豊島区、そして日本との協力、連携協定を成立させるために来日するもの」と話した。

 またその協定については「世界中を見回しても一国で単体で映画の産業において自力で存続できるところはない。イタリアも中国と2年前から共同の取り組みを始めた。その後、日本とも協定を結ぼうということになった。まだどのような協定になるかは今後詰める段階」と話した。