立川志の輔、“落語家の欲”が出て「1カットか2カットは出してと言ったら…」
映画『ねことじいちゃん』完成披露試写会が5日、都内にて行われ、主演の立川志の輔、共演の柴咲コウ、小林薫、銀粉蝶、山中崇、葉山奨之と岩合光昭監督が登壇した。
「私が“じいちゃん”です」と挨拶した主演の志の輔は「主演ということだったんですけど私は脇役でした。タマ、本名ベーコンは本当に素晴らしいスーパーキャット。監督の言うことを一番よく分かっていいるのはタマなんじゃないかというくらい理解が早い。私が何度もテイクを重ねてしまったときも“いいよ、落ち着いてやりなよ”とでもいうように落ち着いていました」と“相手役”をベタ褒め。
映画初主演を果たした志の輔だが、オファーを受けたときの思いを聞かれると、しばし考え込み「ある舞台を見に行った帰り、猫がポーンと飛んでる大きな写真が目に入り、入場料500円もするのかと思いながら入り、出るときには500円でいいのかと思った。NHKのディレクターを通じて5年ほど前に一度、お食事をさせていただいたんですよね、そのときに、ときどき言う冗談はまったく面白くないけど作品も人間もステキだなと尊敬する気持ちがあった中でオファーが来たものですから…お断りしました」と“オチ”で会場を爆笑させつつ「とても私にできる仕事じゃないと、お断りしたんですがメールだけでお断りするのは申し訳なく思い電話をしたところ、そのときに落語家の欲とでもいうか“1カットか2カットは出してもらえませんか”と妙なお願いをしてしまって。では事務所に来てお話ししませんかと言われてお話ししているうちに、気がついたら撮り終えていました」と出演のいきさつを語った。岩合監督が「断られてショックを覚えて、師匠に出ていただけなかったらこの映画を作るのはやめます、とも言いました」と明かすと、志の輔は「ええっ、と驚きながらも心の中ではやめればいいじゃん、と思ったんですけど。そんなこと言っちゃダメですよと言って、こういうことになった」と振り返った。
そんな志の輔と岩合監督の初主演・初監督タッグに、柴咲も「お2人の相性が素晴らしいんです。立川さんは戸惑われることやストレスになることもあったと思いますが主演として現場を引っ張ってくださった。何より話が面白いので笑いの絶えない現場だった」とたたえ、岩合監督についても「猫をかわいらしく、素直に切り取るのが本当に上手な方だな、と。お芝居をしないでください、と言われて難しいなと思ったんですが、猫を前にすると顔が自然とほころんでしまって、そういう気持ちを素直に出していいということかなと思い、私も素直な気持ちで演じることができました。ただ、途中まで猫しか見てないんじゃないかという場面もあったので、ひと言、俳優のお芝居も見てくださいと言わせていただいたらハッとした顔をされ、そこからちゃんと見てくださいました」と茶目っ気を交えて語り会場を笑わせた。
フォトセッションの前にはベーコンが自分で歩いて登場。監督の呼び声に応えて歩み寄り、共演者たちとともに堂々とした落ち着きっぷりで撮影に参加していた。
『ねことじいちゃん』は2月22日より全国公開。