新型コロナ「次亜塩素酸水」発表内容めぐり現場の混乱続く

 新型コロナウイルスの感染拡大によるアルコール消毒液の不足から、経済産業省が消毒方法の有効性評価を行なっている「次亜塩素酸水」について、発表内容が二転三転するなど現場の混乱が続いている。
有効性評価が行われている「次亜塩素酸水」について混乱が続いている(写真はイメージです)
 事の発端は5月29日に経産省の要請で有効性評価を行う独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が発表した「『次亜塩素酸水』等の販売実態について(ファクトシート)」「『次亜塩素酸水』の空間噴霧について(ファクトシート)」について、一部メディアが「現時点では有効性は確認されず」「噴霧での利用は控えて」と報道。その後、6月4日付で文部科学省が発表した「学校における消毒の方法等について」において「児童生徒等がいる空間で使用しないでください」と記載したことから、すでに次亜塩素酸水を導入していた自治体や学校が相次いで使用を取りやめ。この動きに対し、6月11日に大学の研究者やメーカーが発足させた次亜塩素酸水溶液の活用と普及に取り組む団体「次亜塩素酸水溶液普及促進会議」が、都内で安全性のPRと報道内容を否定する会見を開くなどしていた。

 なお、経産省およびNITEは6月に入って発表資料やファクトシートの内容を差し替え。現在は「『次亜塩素酸水』の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中です」と注意書きがされ、「よくあるお問い合わせ」の項目に「今回の有効性評価は、アルコール消毒液の代替となる身の回りの物品の消毒方法の評価が目的であり、空間噴霧は評価対象となっていません」との回答がある。また、6月16日付で文部科学省が発表した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」では「メーカーが提供する情報、厚生労働省などの関係省庁が提供する情報、経済産業省サイトの『ファクトシート』などをよく吟味し、使用について判断するようお願いします」と記載され、各学校の判断に委ねられる形となっている。

 経産省およびNITEは消毒方法の有効性評価について、6月中には最終的な結果を公表するとしている。
文部科学省が発表した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」(一部)