「STAY STRONG TOGETHER」コロナ禍のJリーグクラブの試み 【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:長田洋平 (2020年7月8日 J1リーグ 横浜F・マリノス vs 湘南ベルマーレ)
Jリーグが再開して1ヵ月余りが経過した。今回の投稿では、僕が直接触れた中で特に印象に残った試合を紹介したい。

7月8日、ニッパツ三ッ沢競技場で行われた横浜F・マリノス対湘南ベルマーレ。
横浜F・マリノスにとっては再開後初のホームゲームだ。

まずスタジアムに入場すると壮観な光景が飛び込んできた。
赤青白のフラッグをスタンド席に張り巡らせて、トリコロールカラーのデコレーションが完成されていた。

「STAY STRONG TOGETHER トリコロールの絆。いまこそ強く。」

フラッグにはこのようなコピーが印刷されていた。この合計6200枚のフラッグはファンが購入した物だという。
クラブスタッフとファンが一体となって作り出したホームの雰囲気には大きな感銘を受けた。

試合前に行われていた「医療従事者に向けての感謝の拍手」の場面では、隣接する病院に選手全員が体を向けて拍手を送った。
隣接している横浜市立市民病院はクルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号の患者を受け入れるなど、日本における新型コロナ対応の初期段階から大きく尽力をされている病院だ。
スタジアムから見える病院の窓にも「おかえりなさいJリーグ 三ッ沢で心を一つに」というメッセージが見え、地域との一体感を感じさせた。

試合は3−2で横浜F・マリノスが逆転勝ちを収めた。
湘南ベルマーレは激しいプレスと効果的なカウンターが好ゲームを演出した。対する昨年王者は途中出場の天野純とオナイウ阿道が全3点を叩き出した。
アグレッシブな攻防、交代選手が活躍するというJリーグ再開後の潮流が試合内容によく表れていた。

試合後、ベンチの前で勝利の余韻に浸っていた選手達はゆっくりとバックスタンドの方に歩き始めた。スピーカーからは横浜F・マリノスの勝利のチャント「コーヒールンバ」。
トリコロールカラーに装飾された無人のスタンドとテレビカメラに向かって選手達は手を振って場内を回った。
その表情からはどうすればいいか分からなそうな戸惑いも感じたが、かえってほっこりとした雰囲気を醸し出していた。

クラブ、地域、ファン、選手。サッカーファミリーが一体となり、心づくしに溢れた一戦を僕は忘れないだろう。
そしてこれからもファミリーが一枚岩となって新型コロナウイルスに立ち向かう習慣が浸透することを願うばかりだ。


■カメラマンプロフィル
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピック、ロシアW杯を取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。

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アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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