蛭子能収がテレビ番組で公表「レビー小体型認知症」はどんな病気?
漫画家でタレントの蛭子能収さんがテレビ番組で専門医を受診し、初期の「レビー小体型認知症」「アルツハイマー型認知症」の合併症であることが発表された。「レビー小体型認知症」はアルツハイマー型に次いで多いと言われる認知症だが、どのような病気でどういった特徴があるのだろうか。公益社団法人東京都医師会の角田徹先生に解説してもらった。
アルツハイマー型に次いで多いという「レビー小体型認知症」(写真はイメージです)
「レビー小体型認知症」とはどんな病気?
記銘力(新しく体験したことを覚える能力)や記憶力、判断力などの認知機能に障害が出ることが認知症の主な症状です。その中でもっとも多いアルツハイマー型に次いでこの「レビー小体型認知症」が多く、「脳血管性認知症」と合わせて「三大認知症」と言われています。
「レビー小体型認知症」の原因は?
脳の神経細胞に「レビー小体」という特殊なタンパク質の塊ができて、認知機能に障害が出てきます。脳に「レビー小体」が生じることで引き起こされる病気には、大脳皮質(だいのうひしつ、大脳半球の表層をいう)に広く沈着する「レビー小体型認知症」と、脳幹(のうかん、大脳半球と小脳を除いた脳の根幹をなす部分)に沈着するパーキンソン病があります。
長期記憶と短期記憶では記憶に関わる脳の部位が違うと言われ、一般的な認知症は記銘力、つまり「今朝何を食べたか」「昨日何を行ったか」といった短期記憶から失われていきます。ところが「レビー小体型認知症」では、実際には見えないものが見えたり、起きていないことが起こったりという幻視や幻覚、興奮したり怒りっぽくなったりするなどの異常行動、レム睡眠中に夢の内容に関連した異常行動が見られるレム睡眠行動障害が出るようになります。症状の現れ方に違いがあるため、認知症だと認識されにくい場合もあります。
「レビー小体型認知症」の症状は?
幻視や幻覚、妄想、異常行動、レム睡眠行動障害のほかに、日や時間帯によって状態の良い時と悪い時がある認知の変動、抑うつ症状、自律神経症状、手が震えたり身体や表情が硬くなったり、突進して止まれなくなるなどのパーキンソン症状などがあります。