アダルト業界の営業の仕事とは?【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#17

 不定期企画、同じアダルト業界で働く女性へのインタビュー。今回はこんな方にお話しをお伺いしてみた。

今回の話し相手: 堀江もちこ



(株)トータル・メディア・エージェンシー営業部。WEB制作会社、人材広告会社、アダルトビデオメーカーに勤務後、現職。DVDメーカー「TMA」、グッズメーカー「タマトイズ」の営業を担当。2019年に光文社より著作「オナホ売りOLの日常」が発売中。好きなAV女優はあべみかこ。
TMA公式サイト: https://www.tma.co.jp/
Twitter: https://twitter.com/CO_mochi_mochi


 私はこの8年くらいは女性向けアダルトのサイト運営や商品の宣伝などを中心に仕事をしているのだが、その前はSODの男性向けAVの営業やマーケティングの部署にいた。
 実は私は営業の仕事はものすごく苦手だ。
 ひたすら飛び込み営業をしていたときは、毎日電話しては断られるという心折れる仕事に気が滅入ってしまった。
 また、電話営業をしていた時も、他人の気持ちを想像するのが苦手で、店舗からの問い合わせの内容が理解できず、仕事をするのが非常に苦しかった。
 今にして思えば仕事なんてどれも大変だし、入社当時はわからないことも多いからついていけないと感じることがあるのは仕方がないが、営業という仕事に対してはすっかり苦手意識が芽生えてしまったのだ。

 だから今回は、そんな営業職として働く堀江さんに、営業という仕事の魅力について聞いてみた。


―――これまでも記事やインタビューで説明されてるかと思うんですけど、この業界に入ったきっかけ、今のお仕事を担当される経緯を教えてください。

 前職では広告系のライターをずっとやっていたんですが、そこから一度転職をしたんです。それが別のアダルトビデオメーカーで、そこで最初に担当したのが広報だったんですね。ライターをやっていたので、広報だったら近い仕事かなっていうことで、まずは転職しました。そこには1年ほどいたんですが、後半の半年間は営業を担当していました。前の営業さんが辞めるということでの異動です。
 ただ、DVDの売上って年々落ちてきていて、もうちょっと扱う商品を広げたいと思い、現在の会社に。TMAでは、映像と、タマトイズっていうグッズメーカーもあって、より広く商品を扱って営業できるかなと思って、今の会社に転職しましたね。
 今の会社では、入社してから現在まで、アダルトDVDとオナホールなどのアダルトグッズの営業を担当しています。

―――読んでいる方の中には、アダルトグッズの営業ってどんなことをするのかピンとこないという方もいるかと思うのですが、どういうお仕事をしているのか教えていただけますか?

 メインとしては、弊社の商品を取り扱っているお店に訪問するか電話するかして、新商品の案内だとか、キャンペーンをしているときは値引きのご案内だとか、数量限定商品のご案内をして、発注をとるっていうのがお仕事ですかね。


―――どんなお店を担当されているのでしょう?

 メインはセル店と呼ばれる、アダルトDVDやグッズを専門に扱う店舗です。
 私は東京都内と、北海道と東北と九州のエリアを担当しています。東京都内は電車で訪問して、遠方へは訪問できないので電話営業です。
 最近はTSUTAYAさんとかGEOさんのようなレンタルの店舗も担当するようになりましたね。


―――前の会社で営業に異動になる前って、営業の経験自体はあったのでしょうか?いきなり営業のお仕事ってすんなりできましたか?

 営業はやったことなかったですね。アルバイトで接客くらいはありますけど、ちゃんと社員で営業職でというのははなかったです。
 広報から営業に異動になるときに、元上司の担当のお店に同行しての引継ぎはありました。何回か一緒に行って、OJTみたいな感じです。かっちり座学で研修みたいなのはなかったです。


―――私も営業部にいたことがあったんですが、全然うまくできなくてすごく苦手意識があって。今営業の仕事楽しいですか?

 今の仕事は気持ち的にはやりやすいですね。今4年目なんですけど、初めてこんな長く続いたんですよね。


―――長く続いた理由は?

 ストレスがなかったからかなと思います。もともとは営業が特別に好きだったというわけでもなかったんですけど、そんなに苦にならない仕事だったのかなと思います。
 ライター職の頃は、パソコンの前に向かって黙々と指示されたものを作るという仕事だったのですが、今思えばそういう仕事はちょっと苦手だったのかもしれません。それに、書いたものがわかりにくいと言われたりしても、自分では良いと思っていたので、どう直せばいいか答えがわからなくて難しかった。
 営業職に変わってからは、どう頑張ればいいかわかったという感じですかね。売るものの魅力を伝えて、それで発注をとればいいという、結果の出し方がすごくわかりやすかったんですよ。
 それに、例えばひたすら電話営業してリストが埋まったのを見ると、「頑張った!」って達成感を感じたり、見た目にもわかりやすい。


―――御社の商品って個性的な商品が多いじゃないですか。売りにくいのでは……と思ったりもするのですが、売るコツとか自分なりにあったりしますか?
※タマトイズは脳みそ型のオナホール「プルプルぶれいんふぁっかー」や、便器型ホール「俺専用中出し肉便器」など、個性的な商品がTwitterで話題になったりしている。

 個性的な商品が目立つんですが、実はこだわって作っているものも多いんです。最近だと「タマプレミアム」というオナホールのシリーズがあるんですけど、それは全部自社工場で作ってる商品なんですよ。中の構造も、制作者が使って一番気持ちが良いものを採用して作ってるんです。そういう商品って、話題性としては奇抜な商品の間にうもれちゃうんですけど、安定して売れるものなので、しっかり店舗さんに伝えるようにしますね。


―――今営業の仕事をしながら、本を出版されたりもしていると思うのですが、これは会社員としての広報活動にあたるんでしょうか?個人としての活動となるんでしょうか?

 一応個人の副業にはなるんですけど、本に関しては会社や商品のことも書いているので、会社として間違った意見が書かれていないかという部分で、原稿のチェックはしてもらいましたね。
 最初にもともと個人のブログを書き始めて、Twitterも始めて、それは副業でもないし、個人として書いています。


―――ライターとしての別の顔っていうより、あくまで同じ人の産物という感じ。

 そうですね。私の場合、公私があまり分かれてないのかもしれないです。私の本も、プライベートのことや彼氏のことも書いたし、仕事のことも書いたし、あまり線引きができないなと思ってて。
 田口さんもそうじゃないですか?ダンスのこととかも書かれてるじゃないですか。あれもプライベートの一部だったはずなのに、「公」な感じがしてきたりしませんか?


―――……「私」がないですよね、全部「公」。私の場合、仕事でもプライベートでも何が起きても、コラムのネタや仕事のアイディアにつながったりするし、逆を言えば全部がSOD社員の田口桃子なら何を言うべきか、何を言えば会社にプラスになるかとか考えちゃいますね。

 そうですよね、全部「公」になりますよね。段々と。
 次回、堀江さんの考える営業という仕事の魅力について、お伺いする。


田口桃子(たぐち・ももこ)
GIRL’S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL’S CHの立ち上げに携わる。
以来現在まで、GIRL’S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。