7年8カ月にわたる安倍政権。いったい何を残してくれたのか?

8月28日、安倍首相が電撃辞任を発表(写真:新華社/アフロ)

持病の潰瘍性大腸炎が再発


 安倍晋三首相が8月28日夕、首相官邸で会見を開き、突然の辞任を表明した。連続在職日数が憲政史上最長となってから4日の出来事だった。

 辞任の理由は持病の潰瘍性大腸炎の再発。くしくも2007年の辞任時に「政権放り出し」といわれた時と同じ原因だった。

 安倍氏は2006年に総理大臣となったものの2007年に辞任。2012年に再び総理に就任し、今月24日に連続在職日数が歴代最長の2799日となり、大叔父の佐藤栄作元首相を抜いて単独1位になった。

 この日の会見は前日までは感染拡大が続く新型コロナウイルスに関することがメインだと思われていたが、当日になって状況は一変。午後に「辞意固める」というニュース速報が流れた。

 第二次安倍政権の7年8カ月を振り返ると、この間に行われた国政選挙で6連勝と圧倒的な強さを見せた。これは大胆な金融緩和をてことした経済政策である「アベノミクス」で幅広い層から支持を集めたことが大きい。アベノミクスは経済成長を促し、株価を大きく引き上げた。

 もっともアベノミクスについては「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」を3本の矢としていたのだが、途中から勢いが衰えた感は否めない。確かに企業の業績や雇用情勢などは改善された。しかし家計においては富裕層の所得は増えたが、中間層以下の所得は減少するなど庶民には大きな恩恵があったとは言い難い結果となっている。

 とはいえ選挙での圧倒的な強さから自民党内では「安倍一強」という盤石な地盤を作ることに成功。これまで2期6年までだった総裁任期を2017年に3期9年に延ばし、我が世の春を謳歌した。
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