フィギュアスケートNHK杯  三原舞依の美しい所作 【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:長田洋平( 2020年11月27日 フィギュアスケートNHK杯 女子SP )
NHK杯初日に行われた女子SP。
三原舞依選手の所作に心奪われた。

演技中盤、リンクの中央少し下手側でスピンを終えると、
肩をストンと落として体に余計な力が全く入っていない状態でリンクに立つ。

「ゼロ」の状態というべきか。

動いているのは遠心力の余韻で揺られた前髪と微妙な表情の変化だけ。
美しい静寂を作り出した。

そして音楽に合わせてゆっくりゆっくり微細に体を動かしてまた滑り出す。

会場の全ての視線がリンク上のただ一人に注がれる。
極度の緊張状態にあるなかで、自分の体を自由に、思い通りに、しかも細かくゆっくりと動かすことが出来る。

それがいかに難しいことか。


話は少し変わるが、今季から僕達アフロスポーツはスケート連盟のオフィシャルカメラマンを拝命した。
これまでよりも選手の近くにいれる時間が増え、自然と選手の感情の機微の一端にも触れることが出来るようになったと思う。

インタビューや練習、演技前のコーチとの時間やキスアンドクライなど、情報量が増えた。
「コロナ禍以降では初めての大きな舞台」というワードが選手の口から度々出てきた通り、
多くの選手が今大会の環境への適応に難しさを感じているように見えた。

その中での三原舞依選手の演技である。
振付の素晴らしさ、表現者としての彼女の技量、そして胆力。
リスペクトしかない。


■カメラマンプロフィル
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピック、ロシアW杯を取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。

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アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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