【インタビュー】上田慎一郎 × 神木隆之介 映画『100日間生きたワニ』100日後のその先へ
トレンド記録、コロナで脚本書き換え、そして“炎上”も越え…100日後のその先へ
Twitterで大きな話題を呼んだ、きくちゆうきによる4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」がアニメーション映画化。100日間のワニの日常と、そこから100日後の大切なものを失った仲間たちの姿を描いたアニメーション映画『100日間生きたワニ』を手がけたのは『カメラを止めるな!』の監督・上田慎一郎とアニメーション監督としても活躍するふくだみゆき夫妻。上田監督と主人公ワニの声を演じた神木隆之介が、『100ワニ』最終話の考察ブームと余波までを振り返りつつ、新たなタイトル、新たな物語となった映画に込めた思いを語る!
『100ワニ』ブーム、2人はどう見てた?
そのタイトルから想起する結末と、100日間、毎日Twitterに投稿される、ワニたちの何気ないほのぼのとした日常が多くの人の興味と共感を呼んだ4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」。最終話は、いいねの数が214万という国内Twitterの歴代最多数を記録。エンゲージメントは2億超え。そんな話題作を2人は当時、どう見ていたのだろうか?
神木隆之介(以下:神木)「僕は、テレビで“今日、何日目です”と紹介されていたのを見て“何日目? ということは100日目に何かあるのかな?”と興味を持ったのが最初でした。半分くらいから、3日に1回程度のペースで見るようになり、90日目あたりからは毎日、見ていました。100日目を迎えたときも、みんなはどんな解釈をしているんだろうと思ってTwitterをのぞくと、“絵をズームして見ると、ここにヒヨコがいて…”とか、“LINEを送った時刻が…”といった検証ツイートが上がっていて、それがまた半端なく拡散されていて。物事が大きく動いた瞬間に立ち会えたような気がしました。僕自身は検証ツイートに参加はしませんでしたが“えっ、ヒヨコ本当にいる?”と、ズームして見たりしていました(笑)」
上田慎一郎監督(以下:上田)「僕は、連載2日目から見始めて、ほぼ毎日追っていました。30日目を過ぎたころにはもう、映画にしたいと企画書を作っていました。原作者のきくちさんとも連載中にお会いしていたんですが、最終回がどうなるか聞かないことにします、とお伝えして。いち読者として最終回まで毎日、楽しみに拝見し、連載終了後から脚本を書き始めたんです」
神木「僕は正直、監督が上田さんと聞いて驚きました。あの『カメラを止めるな!』の監督が、ということもそうですし、実写の監督がアニメを撮るということもイメージがつかなくて」
上田「今回は妻のふくだみゆきと共同監督なんですが、ふくだがアニメ制作の経験があるので、僕は僕でアニメということにとらわれすぎず、実写をやってきた自分だからこそできるアニメ映画を作ろう、という気持ちでした。でも確かに、これまでのイメージとは違うかもしれないですね。僕に『100ワニ』のような“日常”を撮れるのかとか、どんでん返しはあるのか、とか(笑)。今回、この作品をやりたかった理由の一つに、イメージを変えるというか、自分が今までやってきたこととは違う、かつ自分がやりたいことをやろうという思いがあって。それが、ささやかな日常を描くということと、漫画では直接描けない、コマとコマの間に流れている時間を映像化してみたいということでした。例えば、ワニがドギマギしている空気感とか、朝日をワニとネズミが2人で見つめている時間とか、そういう“流れている時間”を映像化したかった。それと、これは僕だけではなかったと思いますが、当時ちょうど、平凡な日常を見たいという気持ちが強くなっていて」