飛び込み界のホープ、14歳の玉井陸斗が東京五輪の出場枠獲得
東京五輪最終予選とテスト大会を兼ねた飛び込みの「ワールドカップ」(東京アクアティクスセンター)で、飛び込み男子のホープ、14歳の玉井陸斗(JSS宝塚)が5月3日に行われた準決勝で9位になり決勝に進出。18位以内に入り五輪出場枠を獲得した。4日に行われた決勝では424.00点で8位となった。
5月4日、決勝での演技に臨む玉井(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
予選5本目の演技を終えた段階で19位だったが、最終の6本目は水しぶきが上がらない代名詞の「ノースプラッシュ」で入水。91.80点の高得点で15位まで順位を上げた。予選では緊張から足の感覚がまひして「ジャンプしてもしきれていない」状態だったという。体をコントロールできず、予選2本目では苦手とする後ろ宙返り3回半えび型の入水が乱れた。失敗が響き、一時は24位まで順位を落とした。しかし多くの五輪選手を育てた馬淵崇英コーチに何度も「大丈夫」と励まされ、自らも「忘れて切り替えよう」と集中力を切らさず、大舞台への切符をつかみとった。
玉井は兵庫県宝塚市出身の中学3年生。3歳で競泳を始め、小学1年の時にもらった体験チラシをきっかけに飛び込みと出合った。ずば抜けた身体能力を武器に頭角を現し、シニアデビュー戦となった2019年4月の日本室内選手権では12歳7カ月での史上最年少優勝を達成。五輪切符を懸けた同年の世界選手権、アジア杯には年齢制限のため出場できなかった。玉井にとって、今大会が最初で最後の五輪への挑戦の舞台だった。