ソーシャルディスタンス時代における、演劇の動画配信2.0について、本気出して考えてみた【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記 番外編】
こんにちは、黒田勇樹です。
北海道、岡山、広島にも緊急事態宣言が発令されて、映画館で映画を見ることができない地域がまた広がりました。
見るのはもちろん、映画も撮る僕にとってはなんとも気をもむ日々が続いています。
ここ2回は配信で見られる映画作品を取り上げてきたのですが、今週は演劇作品のことについて思ったことを書いてみました。めぐりめぐって皆さんのステイホームライフにちょっとでも貢献できれば…です。
では今週も始めましょう。
ソーシャルディスタンス時代における、演劇の動画配信2.0について、本気出して考えてみた
先日、延長された3回目の緊急事態宣言。思えば1回目の緊急事態宣伝が発令された2020年3月も僕は、新作の公演真っただ中でした。上演自体は出来たものの、宣言に順じ3日早い公演終了という判断をせざるを得ませんでした。
「観てくれる人」が、いなければ成り立たない“演劇”という媒体に携わる者として「人命」以上に大切なものはないので、対策もハッキリしていないあの時期では最善の判断だったと思います。
その後、台頭してきたのが「演劇の動画配信」。
もともと無かったわけではないんだけど、僕としては演劇の映像配信やDVDは「甲子園の砂」で、試合が開催されていなかったり、試合の存在を知らない人にとっては“ただの砂”だと思っています。思い入れがあるからこそ、輝くものであって、何も知らない人に「これが“演劇”です」というのは、憚られるというか。
映像の監督もするので「動画にしちゃったら、それは演劇の良さ90%減じゃん!」っつー、感じだったんですね。ハンディカメラの映像で作ったブレアウィッチプロジェクトとか、防犯カメラ風の映像を繋ぎ合わせたパラノーマルアクティビティとか、映画がやっちゃってるジャンルの2番煎じで、とっても見劣りするものを「これが演劇です!」と世に出して、それが“演劇初体験”になっちゃう人たちが増えたらイヤだなー、と。
で、そこから1年、かなり演劇の動画配信の環境は改善されました。様々なポータルサイトが作られ、配信用の録画まで請け負ってくれるようなサイトも沢山出来ているようです。
配信用にカメラアングルを増やしたり。映像を撮り直したり、各団体が様々な工夫を行っています。
これは“劇場に来て欲しい俺”という旧人類のエゴであって“漫画は紙じゃなきゃ!”とも言っていられない時代だと受け入れ、この“配信演劇”も応援していくべきなんだろう、と考えを改め始めている次第なんですが…、だからこそ!
2個だけ言っておきたい!
・検索サイトさん!
コンテンツ増やすのに一生懸命で“自分の観たい作品や団体”には、たどり着けるけど、ジャンルとか傾向でのサーチが弱すぎて「新しい作品」に出会えない!
YouTubeとかニコニコ動画とか、音楽のサブスクで他人のプレイリストが聞けるような「新しい作品」に出会う機会を増やすようなサービスを増やして欲しい!
ジャンルや雰囲気でのソート、その人の見る傾向をAIで分析してターゲッティング、いくらでもやり方があるはずです。
もう1つ
・子供向けの演劇配信が少ない!
これは、自分が子供を持って身に染みたことなんですが、今の時代、スマホで動画見せながら育児する親がとても多いんだそう。
子供向けの動画作っときゃーアクセス稼げるぐらいに、界隈では言われてるらしいですよ。
僕もついついやりがちなんですが、出来れば世界には、素敵な「児童演劇」と言われている作品が溢れているので、ああいう取り組みをしている団体さんと配信サイトに手を組んで欲しい!
なんか“クスリやってるひとが作ったの?”みたいな延々とカラフルなメリーゴーランドとサイケな音楽が流れ続ける動画子供に見せるより、全然よくありません!?
ピンチはチャンス。苦しい時代だからこそ、何か新しい素敵なことが生まれたらいいなと、日々考えています。