怪獣の背中を見せつけられた、明石家さんまプロデュース「漁港の肉子ちゃん」【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.11「スーパー名探偵のファイナル事件簿2021」が27日に無事、幕を閉じました。
今回、初めて自分の作品を再演することになったのですが、素晴らしい座組に恵まれ13日間走り抜けることができました。
今は例のごとく余韻に浸るというか。疲れ切っているというか、でぼーっとさせていただいてますが、すぐに次の作品に取り掛かりますので、ご期待ください。
それでは今週も始めましょう。
昨今、もはや既定路線となりつつある「芸人さんの映画監督デビュー」
チャップリンやウッディアレン、振り返れば実は昔からメインストリームの流れではあったんですが、そこに、今更(これ以上に的確な言葉が見つからないのですが、いい意味で使ってます…)お笑い大怪獣のさんまさんが参戦してくるなんて…
完全に穿った見方ですが「よしもと」がプロデュースと、聞いたらもう“「金儲け」と「話題作り」が出来れば充分なクオリティ”
「さんまさんは名前貸しただけ」みたいなもんを見せられる覚悟するじゃないですか!?
が、実際、観てみたら
びっくりするほど美しい“人間賛歌”
愚かさも美しさも全部描き込まれていて、その上で、その辺の映画と比べるとしたら“圧倒的に良い耳心地”
さすが「おしゃべり」の達人、セリフのトーンからリズム、SE、BGM、全ての耳障りがここ最近見た映画の中で圧倒的に良かった。
声優界、演劇界、芸能界、多岐に渡る人選、含め
主演の大竹しのぶさんも「元奥さんをキャスティング」と、話題になってるけど、実際は「声質で選んだんじゃないかな?」と思わせるほどのこだわりを感じました。
ジブリへの「リスペクト」と「オマージュ」と「パロディ」を、堂々とやってのけるところも「エンタメ界のリーダー」としての“線引き”をする心意気に感じ
後輩の芸人監督たちに「背中を見せた」感がとんでもなく良かったです。
あと、クレジットを本名にしなかったところに「たけしさんへの愛憎」も勝手に感じてしまいました。
内容は、絵柄からは想像も出来ないほど人間の正体を描きながら謡った傑作でした。
“きのこ狩り”のシーンとか、原作発信なのかさんまさんのアイデアなのか、アニメチームの提案なのかはわかりませんが、最終的に「これで行こう」とGOが出たことに身震いしました。
“手段”は似ているけど“オチ”があればコント“テーマ”があれば演劇、と、常々言ってきた僕ですが「手段の達人」がジャンルを横滑りしてきたらこんなに恐ろしいことが起こるんだと、背筋が270度ぐらい伸びました。