コロナ禍と真っ向勝負!有村架純の語彙力にシビれるドキュメンタリー映画『人と仕事』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

こんにちは、黒田勇樹です。

 私事ですが、2度目のワクチンを打ってきました。特に何事も起こらず、ホッとしているのですが、そっちの“ホッ”より、早く台本を書き終えて“ホッ”としたいと思っている今日この頃です。

 先週も書けてないみたいなこと言ってたなあ…。来週は違う報告ができるように頑張ります。

 では始めましょう。

黒田勇樹

 本来撮影されるはずであった劇映画がコロナの影響を受け中止になり、その代替案とし、主演をする予定だった有村架純さんと志尊淳さんを、インタビュアーとしてドキュメンタリー映画を撮ったという、今の時代だからこそ生まれた異色作。

 様々な環境に2人が訪れて“コロナの影響”について聞いていくという構成。

 まず、最近自分の公演も中止になった僕としては「その時にスケジュールを押さえたメンバーで“出来ることをやる”」というハンドリングは、プロデューサーさんの判断らしいのですが、とてもいいアイデアだし、今後“同じような状況”になった人たちへの提案としても非常に有益だったと思います。

 何個かある不満を先に言うと「話を聞きに行く相手が“社会的弱者”ばっかり」

 フリーター、ホスト、シングルマザー、ホームレス、風俗嬢、児童相談所etc…。

 正確には“社会的弱者と呼ばれがちな人ばっかり”なんですが、もうこれは好みの問題で、黒田の独断と偏見による意見ですが「人と仕事」というタイトルでテーマが「コロナ禍」であるなら、医療現場と政治家、そして“お金持ち”にも話を聞いて欲しかった。

“コロナ憎し”は、わかるんだけど、だからこそドキュメンタリーと名乗るのであれば多角的に俯瞰で描いて欲しかったな、と思いました。後半なんて、休業してる映画館とか中止になった作品の台本とか、ちょっと“中止になった悔しさ”が、過剰に映っていて“エモ”すぎな印象。もうちょっとドライでグラデーションのあるほうがリアリティを感じられたかなと思います。

 また、撮ればいいじゃん!楽しみにしてるから!

 んで、面白くなかったかというと全然そうじゃなくて、インタビューしたり独白したりしているときの、有村架純ちゃんの語彙力!!

 もう、これだけでご飯3杯いけます。 

 言葉の選び方が的確で多彩で美しい。相手の感情を引き出すのも、自分の感情を表現するのもスゲー巧い。動物の武器が爪や角なら、人間は言葉ですから、これを使いこなしていると魅力を感じずにはいられないですよね。

 もうひとつ、これは観てもわらないとわかんないと思うんですが「ちとせが、受け取った色紙を全部ちゃんと読んだ」とこで号泣しました。

 本当は、もっと世に広めるべき内容だし「YouTubeでやった方が、観る人増えるし収益も上がんじゃないの?」と、思ってたりもしなくもないんですが、素敵な映画でした。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23